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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

日本半導体、過去の繁栄から世界最下位へ没落 日本から半導体業界誌が消滅する意味

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 筆者は、これらの意見に賛同できない。少なくとも96年までは出版販売額が単調増加しているのである。この途中過程で「活字離れが進んでいる」とする根拠はない。

 また、図3を見ると、80年以降、カラーテレビの世帯普及率は99%を超えている。したがって、テレビが出版不況の原因となったということも考えにくい。では、真の原因は何か。96~97年頃に何が起きたのか。


 再び図3を見ると、97年に携帯電話の普及率が40%を超える。また、PCおよびインターネットの普及率は、それぞれ30%および7%にすぎないが、その後どちらも急速に拡大していく。この背後には、95年に「Windows 95」が発売されたこと、96年に「Yahoo! JAPAN」がサービスインしたこと、99年にNTTドコモの「i-modeサービス」が始まったことなどがある。つまり、これまで紙の書籍や雑誌に頼っていた情報源が、携帯電話やインターネットなどの電子媒体に移行していった。この影響が顕著に表れ始めたのが、96~97年であったのだろう。

 このように、情報源が紙媒体から電子媒体に移行するパラダイム・シフトが起きた。にもかかわらず、96年まで右肩上がりに成長してきた日本出版業界は、電子出版への対応が遅れ、そのパラダイム・シフトに対応できなかった。これが出版不況を招いた最大の原因である。

●半導体産業と業界誌の行方


 
 日本の半導体産業は凋落の一途をたどっているが、世界全体では、半導体産業は成長を続けている(図4)。その成長過程は3つの時代に分けられる。

(1)日米欧など先進国が牽引し、年率10~15%で成長してきた95年までの時代。
(2)Windows 95の発売とともに、成長にブレーキがかかった95~2000年までの時代。
(3)アジアの新興諸国が急成長し、再び、年率5~7%で成長を始めた01年以降の時代。

 新興諸国を中心とした経済発展とともに、今後も世界半導体市場は成長を続けるだろう。その過程で新たな技術が次々と登場し、また企業の統廃合なども起きるに違いない。このような最先端技術や業界動向の情報を伝えるために、業界誌の存在は欠かせない。しかしその媒体は、紙ではなくネットになった。ライターである筆者も、このパラダイム・シフトに駆逐されないように対応していかねばならない。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

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