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清水和夫「21世紀の自動車大航海」(4月2日)

タカタ製エアバッグ死亡事故の謎 原因の「多湿」評価項目は国際安全基準にも規定なし

文=清水和夫/モータージャーナリスト
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 自動車メーカーにとって、毒性がある化学薬品を使うことは避けなければならなかった。さらに0.01秒単位で爆発をきめ細かく正確に制御することが必要なので、各社の関心事はセンサーなどの精度に集まっていた。当時からエアバッグの課題は「誤爆」(衝突を検知しなくても爆発する)と「不発」(衝突を検知しても爆発しない)が重要課題であった。

●国際安全基準も見落としていた点

 では、今回のタカタ製品における火薬が劣化することで起きる問題は、想像できなかったのか。

 火薬の専門家によれば、硝酸アンモニウムは相転移(結晶構造が変わってしまう現象)が比較的低い温度で生じることがわかっているという。自動車が使う温度環境では頻繁に生じることが懸念されていた火薬であった。タカタはある物質を添加することで相転移を回避できる技術を開発し、当時はタカタの技術は高く評価されていた。

 だが、硝酸アンモニウムは吸湿性が高く保管管理も難しい物質なので、初期の性能は安定させることができても、長期にわたって安定するとは考えにくい。このあたりを自動車メーカーはどう認識していたのだろうか。

 本リポートを書くために、主要自動車メーカーにエアバッグの寿命に関して取材したが、異口同音に「クルマの寿命と同じです」という答えが返ってきた。火薬に関する国際的な基準としては、欧州「ISO 12097-3」、独「BAM」、米「DOT」などエアバッグやインフレーターの国際的安全基準があるが、高温多湿に関するテスト評価は規定されていない。

 原因解明のための調査は米国で外部機関を使って行われているが、日本ではエアバッグの劣化の評価や、寿命に関するガイドラインの策定を考えるべきではないだろうか。日本の企業が起こした問題は日本で解決する責任があると思われる。

 日本中を走っているほとんどの自動車にエアバッグが装備されているので、安心して運転するために、オールジャパンで結束する必要があるはずだ。そして私たち一般ドライバーは、事故を起こさないように安全運転に努め、さらにシートベルトを必ず装着すべきである。
(文=清水和夫/モータージャーナリスト)

※記事タイトルは編集部が制作しました。

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