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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第27回

JR西日本、社員過労死で遺族が提訴し、1億円支払い命令 残業250時間超の月も

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 しかも、この工事は乗客の安全確保のためミスが許されないので、心労も重なったとみられる。11年12月以降は、毎月100時間以上の残業をしていたことがわかっている。

 そうした中、12年4月には結婚式を挙げることが決まり、新婚旅行は仕事がひと段落つく12年10月に設定した。

 しかし11年9月頃から、W氏は家に帰ってくることがめっきり少なくなった。結婚前に婚約者と一緒に電化製品を見に出かけようとした時に、先輩から連絡があり、仕事に出かけたこともあったという。

 12年1月頃からは、さらに忙しくなり、帰宅は3日に1回、ひどいときは1週間に1回になった。深夜にタクシーで帰宅し、翌日昼には出て行くような生活を続け、家に帰ってもほとんど会話はできないほどだったという。また、この頃からW氏は、寝ているときにうなされるようになっていたという。

 そして、結婚式前月の時間外労働時間は254時間49分に達した。この時期、W氏は、「大声で泣きたい」「死ぬことばかり考えてしまう。精神的におかしくなっているかも」「結婚前なのにごめん」といった言葉を頻繁に家族に漏らすようになっていった。

 結婚後も忙しい日が続き、丸一日休んだのは、結婚式当日と翌日くらいで、夜中に、「終わらないよ」とうなされることも多くなった。

 お盆の帰省時にも、W氏は分厚いファイルを持ち歩き、顔色が悪く疲れ切っていて、イライラしたり落ち込んでいる様子で、普段は周りに気を使う性格なのに、このときは対人関係もおかしく、精神的に変調を来していると家族は気付いたという。

 また、現場では、10月5日に切り替え工事を控え、阪和線で7~9月に大きな事故を含め何度か設備事故があり、社内に「ミスは許されない」という雰囲気が生じていた。そうしたなか、現場で一緒に働いていた上司が異動することになり、切り替え工事の当日、W氏がほとんど一人で取りまとめなければいけない事態となり、一層負担は増した。9月29日の夜、W氏は下請け業者に電話した後、「もう泣きたいよ」と涙ぐんでいたという。

止められなかった悲劇

 そして、新婚旅行を間近に控えた10月1日の朝、家を出るときW氏は、泣き出しそうな悲しい顔で「行きたくない」と言った。それを聞いた妻は泣きながら、「行かなくていい」と引き留めたが、W氏は「みんなに心配かけるといけないので行く」と言って出勤した。

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