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町田徹「見たくない日本的現実」

関電の老朽原発審査、被災地に理不尽かつ甚大な影響 電気料金の高止まり、瓦解する原則

文=町田徹/経済ジャーナリスト
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 このうち女川原発2号機は、13年12月に新規制基準の適合性審査を申請しており、翌年1月から月1~2回ペースで原子力規制委員会のヒアリングを受けているが、いまだに審査終了のメドは立っていない。今回の関西電力の3基の駆け込み審査で原子力規制委員会の担当官らが多忙を極めることになり、女川原発の再稼働が1年から1年半程度遅れることが確実視されている。その分だけ、被災地の電気料金の高止まりの解消が遅れるのである。なぜ、このような理不尽がまかり通るのだろうか。

 また、東日本大震災当時、建設中だった青森県の大間原発は、国の原子力政策変更に伴う原子炉の構造見直しや、保有会社である電源開発(Jパワー)の民営化などに振り回されてきた。地元の大間町議会が誘致を決議してから31年目に突入したというのに、いまだに試運転開始もメドが立っていない。そこに今回の遅れが加わり、大間原発の運転開始は早くても5年先の20年以降とみられている。31年前に入社した社員たちも、すぐそこに定年が迫っており、民間企業の事業としての存続が問われている状況といってよいだろう。

 こうした審査の遅延は、設立からまだ2年半しか立っていない原子力規制委員会の体制の問題であり、誰かが責めを負うべき問題ではないのだろう。とはいえ、老朽原発が運転延長を目指す影響は計り知れないことも、また否定のできない事実なのである。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)

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