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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

健康食品、規制緩和で健康被害急増?届出制により安全性・有効性の審査が形骸化か

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 ちなみに“いわゆる健康食品”の市場は、90年代初めの4000億円から13年には1兆2100億円【編注8】へと約3倍に伸びた。トクホの同13年の6100億円を加えれば、健康食品は1兆8200億円の巨大市場だ。17年には市場規模が2兆1450億円へ急拡大するとの報告【編注9】もある。

届出制度の形骸化で健康被害増加か

 機能性表示食品について、消費者団体などはどう見ているのか。日本生活協同組合連合会はまず「消費者庁は米国の表示制度について、消費者の健康保護、利益確保の観点から、より慎重な姿勢で検討し、食品表示基準(案)として整理したことを評価」とした【編注10】。

 確かに消費者庁は米国のダイエタリーサプリメント制度を、日本の反面教師にした形跡がうかがえる。米国の「販売後の届出」を、日本は「販売前の届出」にした。また、機能性の科学的根拠としてヒト対象の臨床試験か、研究レビュー(発表された研究論文などの文献をすべて見て評価)が必要などとする事業者向け全111ページに及ぶ「ガイドライン」【編注11】を公表した。だが、片や日本生協連は、こうも指摘している。

「届出制度が形骸化してしまえば、米国のように、科学的根拠に基づかない商品が流通することによって、消費者の…健康が損なわれるおそれがある」

 当初から新制度に反対の全国消費者団体連絡会は「重大な懸念は届け出た機能性成分の安全性や効果について、国や公平な第三者機関による科学的な評価を受けていないこと」【編注12】として否定的だ。

 同様に反対の日本弁護士連合会も「届出制である以上、…安全性・有効性に関する情報の審査は、形式的なものにならざるを得ず…健康被害を生じさせ…」【編注13】と指摘する。

 企業の自己責任というが、健康被害などを発生させた場合の罰則が強化されたわけではない。また、“いわゆる健康食品”の健康被害の問題も放置したままの新制度のスタートだ。

 健康不安と健康被害の狭間に立つ消費者は、何をどうすればよいのか。先の食品の新たな機能性表示制度に関する検討会委員の梅垣敬三国立健康・栄養研究所情報センター長は「バランスのとれた食事や運動などの生活習慣が、健康の保持増進の基本です」【編注14】と諭す。この言葉を噛みしめながら、健康食品に依存せず、野菜たっぷりの食生活の原点に返り、自分と家族の自己防衛を図りたい。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト)

【編注1】消費者庁食品表示企画課「『機能性表示食品』制度がはじまります!」2015 年4月)
【編注2】安倍晋三首相「成長戦略スピーチ第3弾」内外情勢調査会全国懇談会、2013年6月5日
【編注3】消費者庁「特定保健用食品とは」「栄養機能食品とは」
【編注4】消費者庁「第6回食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」参考資料1、2014年5月30日
【編注5】消費者庁「米国等における食品の機能性表示制度」2013年12月20日など
【編注6】消費者庁「事故情報データバンク」より消費者庁消費者安全課作成
【編注7】消費者庁「食品の機能性表示に関する消費者意向等調査結果」2014年4月4 日
【編注8】「食品と開発」UBMメディア、2014年3月号
【編注9】市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングのHP
【編注10】消費者庁「食品の新たな機能性表示制度に係る食品表示基準(案)についての意見」2014年10月3日
【編注11】消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」2015年3月30日
【編注12】【編注11】と同じ
【編注13】【編注11】と同じ
【編注14】(梅垣敬三「機能性成分の安全性と有効性―最近の『健康食品』の安全性・有効性情報から―」食品と容器、2014年 VOL.55 NO.1)

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