ところが、夫の精神的なDVが深刻なものとなり離婚を決意し、母子支援センターへ避難した。

「ホテヘルと、1本だけ出演したアダルトビデオの収入で何とかやり繰りしていたが、体がだるく出勤できない日が増えた。比較的安定した収入が望めるソープに移り、出会い喫茶などにも出入りしたが、日々悪くなる体調や子供の面倒を見ながらの出勤に限界を感じ、生活保護を申請。現在も受給し続けている」(同記事より)

 風俗の世界で、ある程度の収入と安心して働ける環境が手に入るのは、あくまでもお店に出られる健康状態を維持することが前提だ。また容姿や愛嬌など「風俗や水商売にはその世界なりの求められるスペックがある」(同記事より)という。

 鈴木自身も「彼女たちの一人」として「稼ぐ資本としての身体」を持っていた時代には「寝る時間はいくらでもあったが、なぜかいつも眠くて体調が悪かった」という。

「私自身、20~21歳の頃は夜の世界で自分のスペックの高さをある程度謳歌した。しかし年を重ねることによる条件の絶対的悪化を思うと、女の一生の仕事としてとらえるにはあまりに残酷な気がして傷つく前に抜け出したかった。25歳を目の前にして逃げるように昼職に転じたのは、そういう残酷さにうすうす感づいたからだ」(同記事より)

 しかし、多くの風俗嬢は残酷な貧困地獄からは抜け出せないのだ。

風俗の中でも格差

「月刊宝島」(宝島社/4月号)では、『最新報告 ニッポンの貧困「地獄の現場」』という特集を組んでおり、『最貧困女子』著者の鈴木大介がセックスワークの格差を語る。

「セックスワークをする女性たちに『もっとまともなバイトがあるだろう』と言う人がいますけど、普通のAVやデリヘルで、それなりの収入を得られるのって、いまは『勝ち組』の仕事ということを理解していないですよね。(略)一昔前ならお金に不自由しなかった層が『まともなバイト』に進出していて、それに押し出されて『まともなバイト』をしていた人がセックスワークに流れた。当然、いままでのAV嬢や風俗嬢は、もっと底辺の仕事を受け入れるしかない。そうして一番弱い貧困層に、しわ寄せがいっているんです」

 セックスワークの格差、最貧困となれば「冗談抜きで命に関わる問題となる。かなり切迫した状況になってきた」と実感を語っている。

「21世紀の資本」ならぬ「21世紀の“稼ぐ資本”」も深刻なようだ。
(文=小石川シンイチ)

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