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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月14日)

ネットは生産性を上げなかったどころか、個人の時間を奪い、一握りの企業にしか富を与えず

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授
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 人手不足が心配されている介護事業でも、マッスルスーツのような装着型ロボットなどにより介護される人間の自立を促すことができるし、また腰痛を抱える高齢者でも他人を介護することが可能になる。年を取ったらできなくなると見なされていた肉体労働も、装着型ロボットの利用で、50歳を過ぎても続けることができる。視力の衰えや手先の震えをロボットで補うことによって、ベテラン外科医の労働寿命を延ばすことにつながる。自動運転自動車が普及すれば、運転手の人手不足も解消できる。

 多種多様なパーソナルアシスタント機能を持った生活支援ロボットは、高齢者や子育て中の母親など、従来は職場から離れていく人たちをも仕事場に戻す役割を果たしてくれる。

「年をとっても働かされるのか」と嘆く人もいるかもしれないが、日本人は仕事に生きがいを見いだす人が多い。そういった人たちにとって、ロボットは大きな希望を提供してくれる可能性がある。

「ロボットが人間に取って代わる」と懸念されることも多い。確かに、人件費の安さで産業誘致をしている開発途上国では、そういった問題もあるだろう。しかし、日本の場合は悪影響よりも好影響のほうが大きいだろう。少子化や高齢化問題で暗くなるのはまだ早い。

 話は変わるが、長崎のハウステンボスが、ロボットが接客する「変なホテル」を今年の7月に開業すると発表している。今の段階では、ペッパーを接客に採用する予定の日本ネスレと同じように、ロボットは客寄せパンダ的要素が強い。それでも試行錯誤を繰り返しながら、AIが進化していくロボットをサービス業でも利用する動きは進んでいくことだろう。

 筆者は、今より高度なAIを持ったペッパーが、いわゆるモンスター顧客にどう対応するかを見たいものだと思う。「土下座しろ」と要求されたら、どうするのか。ロボットに対して強要した場合も、客は逮捕されるのか。テレビCMでのペッパーは、俳優の北大路欣也に対して生意気に言い返しているが、実際にロボットに言い返されたら腹を立て、客は手を上げるかもしれない。その時、ペッパーは反撃に出るのだろうか。それとも暴力は感情がもたらすムダな行動と見なし、無視するのだろうか。楽しみである。
(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授)

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