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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

黙殺される河野太郎議員が明らかにした「不都合な真実」 23年度以降は財政悪化との衝撃試算

文=小黒一正/法政大学経済学部教授
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 では、内閣府の中長期試算における名目GDP成長率や財政赤字の見通しはどうか。

 まず、高成長を前提とする「経済再生ケース」の名目GDP成長率は3.5%程度を見込むが、バブル崩壊後から11年度までの平均成長率はマイナス0.1%であり、拙著『財政危機の深層』(NHK出版)でも説明しているように、経済再生ケースは現実的でない。このため、慎重な成長率を前提とする「ベースラインケース」では、15年度以降、名目GDP成長率の平均は1.5%程度としている。また、中長期試算の財政収支(対GDP)は、以下の通り、ベースラインケースでは23年度頃に6%超の赤字となる。

図表:財政収支(対GDP)の見通し

黙殺される河野太郎議員が明らかにした「不都合な真実」 23年度以降は財政悪化との衝撃試算の画像1

 このように、名目GDP成長率(n)が1.5%程度で、財政赤字のGDP比(q)が6%超の場合、前出(※1)式より、債務残高(対GDP)の収束値(q/n)は400%超(q/n=4超)となってしまう。

 つまり、厳しい現実であるが、財政再建を達成するためには、社会保障改革を含め、歳出削減や追加の増税が不可避なのである。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)

小黒一正/法政大学教授

小黒一正/法政大学教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。


京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。


1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。会計検査院特別調査職。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。


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Twitter:@DeficitGamble

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