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異例ずくめ!雪国まいたけ、米ファンド完全支配劇の真相 なぜ銀行はアウトすれすれの行動

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 ベインが銀行による担保権実行を前提にTOBを実施すると公表したのは、2月23日の取引が始まる前の午前7時。この時点でTOB価格は245円だと公表しているにもかかわらず、この発表を受け、取引が始まると、株価は245円を超えて一気に287円まで上昇した。

 会社法は大株主が少数株主から保有株を強制取得することを認める一方、少数株主には強制取得される単価に不満があれば、裁判所にその価格を決めてもらえる「買い取り価格決定の申し立て」をする権利を認めている。本来、できるだけ多くの株式を買い付けるため、買い付け株数に上限を設けないスクイーズ・アウト目的のTOBの場合、実施公表後、市場価格はTOB価格に張り付く。応募者全員がその値段で買ってもらえることが確定しているからだ。にもかかわらずTOB価格を超える株価がつくということは、この買い取り価格決定の申し立てで、TOB価格以上の価格決定が出ると考える投資家が相当数いるということを意味する。

 加えて、TOB開始から約1カ月後の3月20日、ハワイ籍のファンド・プロスペクトが大量保有報告書を提出し、9.67%を取得したことを明らかにした。TOB終了後の買い取り価格決定の申し立て狙いの投資家の買いに加え、プロスペクトが10%近くを押さえたことが、応募率が8割にも満たなかった原因だろう。

 TOB期間中の3月半ばあたりから大平氏はメディアのインタビューに応え始め、ギブアップ宣言を出している。これでTOB終了後に大平氏が対抗手段を取る可能性が消えたことが世間に知れ渡った。実際、辛うじて手元に残った6%程度の株式も、結局TOBに応募してしまった。大平氏の闘争に相乗りをもくろんでいた投資家としてはアテが外れたわけだから、TOBへの応募に切り替える人もいただろう。大平氏が応募せず、なおかつTOB期間中にギブアップ宣言を出すこともなかったら、ベインが3分の2を確保できたかどうかは疑問だ。

●第二幕はあり得るのか


 TOBでの買い付け価格が市場価格より約2割高い245円だったので、銀行が担保権実行で得た金額は、大平氏の借入金の元本、利息、それに遅延損害金まですべて回収しても、まだ8億円くらい余剰が出るという。当然、その余剰分は大平氏の元へ戻ってくる。

「これで大平商事の分も含め、私個人の借金はすべて完済できたので、大平商事所有の不動産につけられている担保もすべて解除される。ここにいくら課税されるか正確にはわからないが、ある程度の額は手元に残る」

 もともと持ち株をファンドに売却しようと考えた昨年秋の時点で、「もう雪国まいたけに未練はなく、海外展開の仕事に専念したいと考えていた」という。にもかかわらず取締役の入れ替えをもくろんだのは、「後に残る社員が気の毒。辞めたから知らん顔では無責任だと思った」からだという。大平氏の関心は、海外でまいたけ栽培を試みる農業家の支援へすでに移っている。

 ちなみにプロスペクトの株取得の目的について、代表のカーティス・フリーズ氏は「買い取り価格決定の申し立てが目的なのではなく、ベインと共に出資をしたいと考えており、TOB終了後にベインとの交渉を開始したい」としている。大平氏は戦線を離脱してしまったが、プロスペクトを軸にした第二幕はあり得る。それもまた金融業界関係者の関心を呼んでいるのである。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

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