米軍基地の辺野古移設とワンセット

 カンペル社長が今回、新テーマパークの候補地も開業時期も明らかにしなかったのは、昨年11月の沖縄県知事選挙で仲井真弘多・前知事が落選したからだ。前知事時代には進出計画は順調に進み、14年7月6日付琉球新報は、USJが名護市進出に向けて県と協議していると報じた。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設を容認していた仲井真氏は、USJの誘致に積極的だった。USJが新たな雇用を生み出すとして、辺野古移設反対の地元の声を抑える狙いがあった。

 だが、3選を目指した仲井真氏は落選。辺野古移設反対派の翁長雄志(おながたけし)氏が知事に当選した。これによって、今年2月に公表されるはずだった候補地の発表は凍結された。

 代わって政府が全面的に乗り出してきた。菅義偉官房長官は3月18日、USJが沖縄に新たなテーマパークの創設を検討していることについて「沖縄の振興を考えたときに、極めてインパクトがある」と歓迎。その上で「政府としてはできる限りの支援をしたいとしっかり伝えてある」と踏み込んだ発言をした。

 政府が沖縄振興策の柱に据えているのが、外国からの観光客を呼び込むためのカジノ設置と那覇空港の第2滑走路の整備だ。ただし、これは沖縄県が米軍基地の名護市辺野古沖への移設を受け入れることが絶対条件だ。辺野古移設が頓挫すれば、カジノ誘致と第2滑走路計画は白紙還元される。建前上では基地移設と経済振興は別物だが、実態はワンセットなのである。USJの新テーマパークは政治的マターの様相を呈しつつある。

 カジノ法案(統合型リゾート整備推進法案)は昨年の臨時国会で廃案になった。超党派の国会議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党幹事長代行)は統一地方選挙後に再提出し、今国会中の成立を目指している。しかし、公明党が慎重な姿勢を崩しておらず、カジノ法案が成立するかどうかは微妙だ。

 3月19日付米ロサンゼルス・タイムズは、「ユニバーサル・スタジオは実現することのないテーマパーク(構想)を世界各地で発表するという長い歴史を持っている」と皮肉った。07年の韓国とドバイ、08年のフィリピン、10年のインドでの計画は、いずれも立ち消えになっている。12年に発表され、18年開業予定のロシアの屋内テーマパークも、進展がほとんどないと伝えられている。

 USJの沖縄進出は陽の目を見るのか。米軍基地の辺野古沖への移設と、カジノ法案の成立の行方にかかっている。
(文=編集部)

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