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垣田達哉「もうダマされない」(4月23日)

機能性表示食品、健康被害多発の危険 事前審査なく事業者まかせ、嘘つき商品氾濫の恐れ

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 例えば、国立健康・栄養研究所が運営するウェブサイト『「健康食品」の安全性・有効性情報』にどの程度従うか、ということも大事だ。同サイトでは、「コラーゲンを食べても『美肌』『関節』に期待する効果が出るかどうかは不明です」としている。同研究所の考え方は、いわば国の指針といえる。仮にコラーゲン入りの機能性表示食品が販売された時に、消費者庁がどう解釈するのか、現時点で不明だ。

 3月13日付当サイト記事『消費者庁、消費者より大企業を優先する“歪んだ配慮” 景品表示法違反摘発急増の怪』でも述べたが、消費者庁は最近、虫よけや空間除菌商品などの多くが、景品表示法違反(優良誤認=不当表示)に当たるとして、摘発している。「一般商品には厳しく、機能性表示食品には甘い」ということは許されないだろう。そのため、事業者によっては、事前審査のないことが逆にリスクとなる可能性がある。

機能性表示の自由度も不明

 国が基準を定めている健康食品には、トクホと栄養機能食品がある。国の審査に合格したトクホは「おなかの調子を整える」といった、決められた保健の用途(効能・効果)を表示することができる。栄養機能食品は「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」「ナイアシンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」といった表示ができる。ただし、注意喚起の表示も必須だ。

 機能性表示食品は審査がないことは前述したが、トクホと同じように「目の健康に役立ちます」「おなかの調子を整えます」というように、身体の部位を明記して機能を表示することができる。ただし「高血圧の人に」「脳卒中を予防」「近視がよくなる」といった「治療」「予防」「診断」を連想させる表示や、「美白」「増毛」のような意図的な健康の増進、科学的根拠に基づいていない機能に関する表示は禁止されている。

 トクホと医薬品を混同している人もいるが、トクホと同様の表示ができるということは、より医薬品に近づくことにもなる。事前審査も行われずに薬のような印象を与える表示が氾濫することは、消費者、事業者、国にとって、必ずしもいいこととはいえない。

 機能性表示食品に頼る消費者が増え、市販の薬の売り上げが落ちれば、医薬品業界は黙っていないだろう。仮に病気になる人が増えれば、医療費が増え、国の負担も大きくなる。そうなると、機能性表示制度は成長戦略どころではなくなってしまう。“薬もどき”の商品を大量に市場に流通させることは、誰の得にもならないのだ。

 薬のような誤解を与える表示は、薬事法や景品表示法などで規制されているが、薬事法には「他の制度で守られた商品には言及しない」という慣例がある。そのいい例がトクホだ。トクホには「脂肪の吸収を抑える」といった薬の効能効果のような表示が許されているが、薬事法を所管する厚生労働省は、食品表示法を所管する消費者庁に文句が言えない。

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17:30更新
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