NEW
垣田達哉「もうダマされない」(4月23日)

機能性表示食品、健康被害多発の危険 事前審査なく事業者まかせ、嘘つき商品氾濫の恐れ

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
【この記事のキーワード】, , ,

 そんな状況で、食品表示法による機能性表示制度が登場した。同制度で届出、販売された商品に、厚労省は手が出せない。もちろん、あまりに弊害が大きくなれば黙っていないと思われるが、しばらくは静観の構えだろう。

 そうなると、トクホでも機能性表示食品でもない健康食品が目の敵にされる可能性がある。また、国だけでなく、消費者も機能性表示食品に頼って、他の健康食品には見向きもしない、ということが起きるかもしれない。「機能性表示食品として届出をすれば、薬事法から守られ、消費者にも支持される」ということになれば、「機能性表示食品にしないと損だ」と考える事業者が増える可能性もある。

 実際、100件以上の届出の中に生鮮食品は1件もない。前述のとおりサプリメントが半数以上で、加工食品の多くもいわゆる健康食品に分類されるものが多いだろう。

中小企業にはハードルが高い機能性表示制度

 当初、この制度の最大の効果は、トクホより簡単かつ費用負担が少ないため、中小企業や生鮮食品の生産者も容易に参入できることだと思われていた。ただ、実際はそうでもないようだ。

 消費者庁に届出をする際、安全性の確保と機能を証明するための科学的根拠などを記した書類が必要だが、安全性の確保には食経験の評価や、HACCP(ハサップ)など高度な品質管理の実施が条件で、科学的根拠には臨床試験を行うか、世界中の文献を精査しなければならない。科学の素養がある専門スタッフがいない中小企業には、あまりにもハードルが高いといえる。外注すれば、その費用は計り知れない。これは生鮮食品も同様だが、生産者だけでは提出書類を書くことすらできないだろう。

 しかも、機能性表示食品だけに義務づけられた表示が16項目もある。小さな商品の場合、義務表示だけでパッケージが埋まってしまいそうだ。

信頼性が失われれば、制度は崩壊する

 機能性表示食品が売れ、他の商品も今まで通り売れるということは考えにくい。景気は上向きのように見えるが、消費状況は決してよくないからだ。消費者は、機能性表示食品を買う代わりに、他の何かを買わなくなるだろう。では、影響が出るのはどこだろうか。

 機能性表示食品は、店頭販売より通信販売での比率が高くなりそうだが、当初は小売店にも多く並ぶはずだ。そうなると、店側は何かを減らして機能性表示食品を陳列することになる。この判断も難しいところで、場合によっては大量の在庫を抱え、本来売るべき商品を売れなくなりかねない。

 スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭では、スペースの都合上、機能性表示食品を多く並べることはできない。次々と登場する機能性表示食品をどれくらい仕入れればいいのか、小売店側は頭を悩ますだろう。

RANKING

5:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合