ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
事業者が届け出た機能性表示食品の情報は、一部が消費者に公開されるが、その内容が信頼できるものかどうかはわらかない。前述のとおり、国による事前審査がないからだ。公開されるものの内容についてはほぼ不問ということであれば、アメリカのように事業者のやりたい放題で「嘘つき商品」が氾濫し、健康被害が多発する可能性もある。
機能性表示食品に対する信頼性が失われれば、当然ながら消費者から敬遠されるようになるだろう。たとえ事業者側が「うちの商品は大丈夫です」とアナウンスしても、ひとつ「嘘つき商品」が出てしまえば、どの機能性表示食品も信用されなくなる。まさに「事業者性善説」が通用するかどうかが、この制度の鍵なのだ。
事後監視で届出が却下される商品がひとつでも出れば、消費者庁はチェックする商品を増やさなければならなくなる。消費者からは、「全部チェックしてほしい」という声が上がり、やがて事前審査の必要性が叫ばれるようになるだろう。機能性表示制度で事業者が一番気にするべきなのは、自社よりも他社の動向なのかもしれない。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)