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山本一郎「煽ったり煽られたりするのが苦手です。」

年金受給者が有権者の多くを占めることで起こる事態 高齢社会が民主主義を壊滅させる日

文=山本一郎
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年金受給者が有権者の多くを占めることで起こる事態 高齢社会が民主主義を壊滅させる日の画像1国会議事堂(「Thinkstock」より)
 山本一郎です。いろいろお勤めを終えて当サイトに戻って参りました。

 今回の選挙も特に地方統一選の投票率が低迷、4月12日投開票された前半戦を終えて、知事選なのに5割を激しく切るなど前代未聞の出来事が起こったりして、政治と分析に携わる界隈は結構な衝撃を受けています。お前らもう少し投票に行けよ。

 大まかな事情については全国紙の記事をご覧いただくとして、今回の統一地方選前半戦で告示日前の調査や出口調査も含めて細かく数字を見ていきますと、まだ「はっきりこうだ」とは言い切れないもののボヤッとした何かを感じ取ることはできます。

【参考記事】
・4月13日付YOMIURI ONLINE記事『投票率は低調…知事選の平均、初めて5割切る』
 http://www.yomiuri.co.jp/election/local/2015/news/20150413-OYT1T50069.html
・4月20日付YAHOO!ニュース個人記事『「低調」地方統一選における、日本人の民意』
 http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20150420-00044981/

 その根底には、低調とされた統一地方選の中で59%の投票率を確保した北海道知事選のように「争点が明確」で「候補者の陣営がはっきりしている」のであれば、有権者に対して「政治的な選択肢」を2つ以上提示できるため、有権者を投票に向かわせることができる。これはわかりやすい話です。ということは、地方政治の投票率を引き上げるためには、地域の生活に関する問題について、わかりやすいテーマを提示してあげれば投票率は上がる、ということになります。

変化する「選挙の争点」

 しかしながら、北海道における原発問題が主要な争点として提示されたことについては、意識調査によればそこまで北海道の有権者にとって重要な課題とは捉えられていなかったようです。逆に言えば、「原発推進か」「脱原発か」というテーマセットで選挙戦が進まず、もっと北海道民の意向に沿った政策論でぶつかっていれば、もっと投票率は上がったのではないかと考えられるのです。

 では、その北海道民の主要な政策論点はなんなのかというと、告示日前の調査でいえば、第1に「経済問題・雇用」であり、第2に「社会保障・年金」、その後は「景気対策」「育児・教育」「介護など公共サービス」の順に続きます。原発問題は主要争点24項目中9位の関心度でしかなく、あくまで北海等知事選を彩る与野党対決のキーファクターとしてはメディアの煽りの割にかすんでいた印象があります。

 もちろん、政治の視点から見て原発問題というのは、イデオロギーも含んで結構重要な課題であることはいうまでもありません。問題は、それなりに重要にもかかわらずそれが有権者にとって「遠い話題」であり、休日の投票所に足を向ける動機にはなかなかならないということであって、政治をやっている側と有権者の側、そして報じるメディアの意識の違いが出ているのではないかと思います。

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