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町田徹「見たくない日本的現実」

実質破綻シャープ、不可解な救済の怪 銀行と政府の犯した罪、具体的再建策ないまま支援

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 巨額最終赤字の発生に伴う経営破綻を回避するため、シャープが必要に迫られたのが、減資による利益剰余金の欠損の解消と、増資による資本増強である。1218億円まで減った資本金を5億円まで減資した後、6月23日の株主総会で優先株の発行を決議し、合計で2250億円の資本を調達する方針を掲げた。

 一方、その優先株を引き受ける金融支援に応じたのは、みずほ銀行、東京三菱UFJ銀行のメガバンク2行と官民ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)だ。引受額はメガバンク2行がそれぞれ1000億円、JISが250億円となっている。

 ただ、これだけの増減資や金融支援を断行するという割には、シャープが新しい中期経営計画に盛り込んだ事業の立て直し策は、抜本策を欠いている。
 
 シャープは、(1)事業ポートフォリオの再構築、(2)固定費削減の断行、(3)組織・ガバナンスの再編・強化の3本柱を掲げている。しかし、3本柱の中で比較的実現可能性がありそうなのは、3500人の人員削減により150億円のカットが見込めるとした固定費の削減ぐらいだ。太陽光パネルがお荷物であるエネルギーソリューション部門の体質改善と構造改革で687億円の経費削減、さらに液晶部門の体質改善と構造改革で370億円の経費削減が可能としているが、そのための具体策はなにひとつ示されていない。

不透明な支援決定までの過程

 そこで、会社の怠慢だけでなく、もうひとつ目を向けなければならないのが、金融支援に応じたメインバンクと官民ファンドの対応振りだ。

 もちろん、あまりにも時間的な余裕がなかったという問題はあるだろう。今回、シャープが最初に業績下方修正の可能性に言及したのは今年2月のこと。3月になって、再度の下方修正の可能性が浮上し、その実態が深刻であるとしてシャープが金融支援を打診したのは3月のこととされている。

 筆者が関係者を取材した限りでは、メインバンクと官民ファンドは支援の可否を検討するため、早急に事業再建策を策定するようシャープに迫ったが、決算発表までの間が十分でなく時間切れとなり、今後の速やかな再建策の具体化と実施を条件に、とりあえず時間的な猶予を与えるための支援に応じざるを得なかったというのが実態のようである。メインバンク2行にとっては、自らが空前の利益を上げる中で、いきなり失業を助長するような資金回収に着手するのは道義的に拙いとの配慮が働いても不思議はない。

 しかし、その過程が不透明感に満ちているのも事実だ。「アベノミクスの失敗」というイメージが出るのを防ぐため、政府が救済を指示しているとか、大企業のシャープが中小企業支援策の利用を検討していると報じられ、複数の閣僚が再考を促すコメントをする騒ぎがあったことも紛れのない事実だからである。自由放任されるべき民間の経済活動が、政府の意向で歪められた印象が拭えない。

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