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あの超優良企業の恥部 大躍進の原動力・画期的商品を開発した社員を放逐

文=編集部
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 日亜化学は中村氏の元勤務先ということで一躍、全国に名を轟かせたが、非上場企業のため一般的な知名度はさほど高くなかった。同社は中村氏の発明を契機に、中小企業からLEDのトップメーカーに飛躍した。白色LEDでは長期にわたって世界トップシェアの座を守ってきた。資本金は467億円、従業員8239人を擁する隠れた超優良企業である。

 14年12月期連結決算の売上高は前期比12.5%増の3486億円、営業利益は32.1%増の989億円、当期純利益は27.0%増の626億円と3期連続の増収増益だ。LED事業は、液晶バックライト、照明、車載の主要3分野で円安の追い風を受け、拡販が進んだ。

 収益力は抜群だ。売上高営業利益率は28.4%。世界のエクセレントカンパニーの営業利益率は15%以上が基準だが、日亜化学はそれをはるかに上回る。高収益に支えられて自己資本比率は86.2%と高い。

 家庭用としては07年ごろからLED照明が普及。長寿命を武器に従来型電球からの代替需要が増えた。しかし、LEDは一度取り付けてしまうと交換が長時間不要なため、海外など新市場の開拓が不可欠になっている。ここにきてテレビ用バックライトのサムスンLEDやLGイノテックなどの韓国勢が激しく追い上げているが、日亜化学の牙城を崩せないでいる。

 日亜化学は技術面で先行している。このほど従来より1000倍以上の強い光が出る半導体レーザーを開発した。これを使えば、液晶テレビなどのモニターの消費電力はLEDの使用時に比べて半減する。液晶テレビの消費電力はモニターが約半分を占めており、テレビの消費電力は25%以上減ることになる。

 財務力に加え、技術力抜群の日亜化学が上場すれば「時価総額1兆円も現実的」(市場筋)との声も聞こえる。しかし、設備投資や研究開発は自己資金と一部銀行借入金で賄っており、当面株式市場から資金を調達する必要がない。投資家が期待する株式公開は当分、お預けになる公算が高い。

中村氏のベンチャー企業が日本参入

 一方、中村氏が共同創業者になっているLED照明の米国ベンチャー企業SORAA(ソラー)は、近く日本法人を立ち上げ、日本国内で本格的に自社製品を販売する。記者会見を開き事業計画を発表した中村氏によると、販売目標は年間3億円規模。日本初の営業拠点は横浜市に置く。

 ソラーは08年設立で、独自に開発した紫色のLEDチップと、青と緑色の蛍光体を組み合わせた業務用ランプを製造している。電気を光に変える率は80~90%で世界トップレベルという。中村氏は「自然の光に近い、きれいな白色を出せる」としている。アイリスオーヤマはソラーとの提携を検討しているが、「紫色のLEDチップを買いたいというのが本音」(関係筋)。しかし、中村氏は完成品の販売にこだわっている。

 研究者として大成功を収めた中村氏は、次はベンチャー経営者としても成功することができるのか。注目を集めている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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