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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

セブン圧勝の秘密 卓越したワンマン&柔軟経営 鉄板のマーケを“徹底的に”徹底

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio
セブン圧勝の秘密 卓越したワンマン&柔軟経営 鉄板のマーケを“徹底的に”徹底の画像1セブン-イレブンの店舗(「Wikipedia」より/Magnus Manske)

 4月、コンビニエンス・ストア各社の2015年2月期決算が発表された。業界2位のローソンは、売上高が前期比2.6%増の4979億1300万円、営業利益も同3.5%増の704億8200万円。同3位のファミリーマートは、営業利益は6.7%減となったものの、売上高は前年比8.3%増の3744億3000万円。

 中でも強さが目立ったのが、業界トップのセブン-イレブン・ジャパンだ。売上高は前年同期比で8.4%増の7363億4300万円、営業利益は同5.0%増の2233億5600万円と群を抜いている。

 セブンは、淹れたてコーヒー「セブンカフェ」やドーナツ、古くはおでんなど、現在ではコンビニの定番となっている商品を他社に先駆けて導入するなど、常にコンビニ業界をリードしてきた。そんな同社の圧勝を支えるものとはなんなのか。立教大学教授・有馬賢治氏は、次のように解説する。

「メーカーのモノづくりでは、蓄積された技術やノウハウでの差が出るので、短期間での模倣は困難です。しかし、サービス商品は他社に模倣されやすいのです。おでんはもちろん、安価で上質なコーヒーを提供するサービスがコンビニ業界でもはや一般化していることからも明らかです。では、セブンの独り勝ちの理由は何か。それは『鉄板のマーケティングをしっかりと実施している』という点に尽きるというのが私の結論です」(有馬氏)

ブレないが柔軟な経営方針

 親会社であるセブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO(最高経営者)を務める鈴木敏文氏の経営戦略の姿勢とその浸透こそが、同グループが流通業界において圧倒的な力をみせている要因だと有馬氏は分析する。

「鈴木氏の経営方針には、『こうやって売るんだ』と決めたらグループ内で疑問の声が上がっても、ブレずに最後までやり切るという徹底性があります。その点だけをみるとワンマン経営と思われがちですが、鈴木氏が根拠にしているのは“お客様の声”。経営的にはブレないことが信条ですが、顧客ニーズや市場の変化に柔軟に順応するのがセブンの強みです。マーケティングセオリーにここまで忠実になることは、かえって難しいものです。また、鈴木氏の経営の特徴として、うまくいかなかった時の事後対応にも注目することができます。鈴木氏は『なぜ売れなかったのか』という問いを非常に大切にされています。学術的には『失敗学』といいますが、失敗をそのまま放置せずに徹底的に原因を究明して、次の施策に生かそうという姿勢を社内に浸透させているのです。これもビジネスでは当然なされるべき改善のサイクルですが、それを継続できる社風を共有できている点も素晴らしいと思います」(同)

非価格競争

 ロットの小さな惣菜を取り扱うようになったのも、零細小売業の減少よりコンビニ客の高齢化をいち早く察知したからこそ。さらに、日本各地の味の好みに合わせた新作弁当やスイーツの開発にも余念がない。全国展開であってもエリアの特性にも目を光らせている現場主義だからこそできる取り組みだ。

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