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牧田幸裕「得点力を上げるための思考再構築」

アマゾンと角川、取次「中抜き」の差別化 アマゾンがケンカで見せつけた「強かさ」

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 これはKADOKAWAに追随する出版社が現れるかどうかで決まる。既存の取引関係を崩すのは、出版社にとっても覚悟のいることであり、そう簡単に判断できない。だから、同社に追随する出版社が現れなければ、簡単に真似されない差別化ということになり、同社の今回の施策は、差別化として機能し続けることになる。

 しかし、出版社のうち数社が同じように取次を経由しないという決断をすれば、おそらく雪崩を打つように多くの出版社が追随するだろう。そうなると、簡単に真似される差別化ということになり、今回の施策は差別化として機能しないことになる。したがって、この施策が差別化として機能するかどうかは、多くの出版社が取次を経由しないという意思決定をするかどうかで決まることになる。

 今回の施策は、KADOKAWA側からみれば取次の中抜きということになるのだが、アマゾンからみれば取次機能の内製化ということになる。取次も高い在庫機能を持っているが、アマゾンも同様なので、アマゾンからしてみればKADOKAWA以外にも直接取引をする出版社を増やし、取次機能を内製化していきたいという考えなのだろう。

 それにしても、こういう施策を打てるアマゾンはすごい。というのも、取次業界2強の日本出版販売、トーハンとアマゾンは、取引関係を持っているからだ。アマゾンにとって取次は、パートナーであると当時にライバルでもある。言い換えれば、アマゾンは右腕で取次と握手をし、左手でケンカをしているようなものである。

したたかなアマゾンの戦略


 では、なぜアマゾンにこういう施策ができて、他の書店にはできないのだろうか。

 それは、出版業界の構造に原因がある。出版業界は、出版社→取次→書店という流通構造で顧客に書籍や雑誌が届けられる。それぞれの売上高を見ていくと、出版社上位の講談社、集英社、小学館が1000~1200億円。取次は寡占状態にあるので、上位の日本出版販売やトーハンが5000~6000億円、書店上位の紀伊國屋書店や丸善が1000億円前後である。

 つまり、(1)中堅企業が集まる出版社、(2)寡占状態なので大企業の取次、(3)中堅企業が集まる書店という構造になっているので、流通の支配権は大企業の取次にあった。

 しかし、アマゾンは書籍部門の売り上げは明らかになっていないものの、12年の国内売上高は約7800億円。取次大手とも十分な交渉力を持てるだけの企業規模だといえる。

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