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神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

浮気相手の特定、身元調査…探偵業はなぜ“許される”?驚愕の手法、はびこる内部協力者(前編)

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント
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 かくして、「行動調査」では、数十万円の費用が飛んでいきます。通常相場の100~200万円程度の慰謝料をもらったところで、調査費用で足が出たというケースもザラにあるゆえんなのです。

 こうした「行動調査」は、比較的、法律を犯すことなく、肉体労働で高額が稼げます。しかし、浮気相手を確認し、その人物を特定する段階になると、今度は「内偵調査」が欠かせなくなり、法律順守がどこまでできるか怪しくなります。「内偵調査」では、人物の属性その他を調べるために、「聞き込み」や「公簿記録入手」などで、法律に抵触する調査手段がいろいろと出てくるところに問題があるわけです。

 例えば、浮気相手の住民票や戸籍謄本、戸籍の附票(住所地の変遷記録)や除籍謄本(本籍地変更で離婚歴、養子縁組などの記載が消滅するので、結婚詐欺師は本籍地をよく変え、編製年が新しい)などが取れなければ、相手を特定したことにはなりません。現在、こうした他人の公簿書類を赤の他人が取ることはできなくなっていますが、調査業者は法を犯さずにどうやって取得しているのでしょうか。

 戸籍は本人を仮装して郵送で取るといった業者も過去にはいたようですが、現在は成りすましも難しくなったこと、簡便といわれる少額訴訟を提起してまで公簿を取得するのも面倒といった事情から、職務上の必要があれば他人の公簿書類が取れる資格8士業(弁護士、司法書士、税理士、土地家屋調査士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)が「職務上の必要性」を偽装して関わっているとみるのが妥当です。あきれた話ですが、現実にある事例です。

 とりわけ、取得が最も容易といわれる行政書士資格で、これまで不正取得し摘発された事例が多いのです。

「内偵調査」は法律違反のオンパレード?

 こうした「内偵調査」は、探偵調査業務では不可欠の要素であり、内容は多岐にわたります。浮気相手の勤務先ぐらいなら尾行で洗い出しも可能でしょうが、「聞き込み」でいろいろ調べなければならない時は、さまざまな業者に化け、時には公務員に成りすまして電話をかけたり(軽犯罪法違反)、近隣訪問もしなくてはなりません。さらに、特定人物の携帯番号、メールアドレス、陸運局照会ではわからない軽自動車の所有者割り出し、銀行口座やその残高、金融機関の借り入れ履歴やその残高、暴力団との関係、前科、逮捕歴など、警察情報までも割り出すという段階になると、その調査は、法令順守ではとても実現不可能です。

 もちろん現在は06年6月施行の「探偵業の業務の適正化に関する法律」に基づき、どの探偵調査業者も正式に都道府県公安委員会に届け出ることが義務化され、順守義務も明文化されています。同法では、過去のこの業界におけるありとあらゆる無法の歴史的背景を鑑みるかたちで、禁錮以上の刑を受け5年を経過しない者や、暴力団員および暴力団員でなくなってから5年を経過しない者は業務に従事できないとか、警察官の立ち入り調査権、差別的調査の禁止、秘密保持義務、調査データの守秘義務、個人情報保護法および他の法律の厳格な規制を受けること、契約時における依頼内容や料金などの書面交付義務、重要事項の説明、罰則の適用などと厳しい規制が定められています。

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