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江上隆夫「ブランド戦略ディレクターのぷらっと未来散歩」

年収78億円、なぜDJに高額報酬が払われる?今も未来も「編集の時代」である

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世界的DJの驚異的年収


 そのGOサインは「年収=世の中から求められている量」に明確に現れています。米経済誌「フォーブス」が14年8月19日に「Electronic Cash Kings 2014」として世界的DJの年収ランキングを公開しています(http://www.forbes.com/electronic-cash-kings/)。

 1位は31歳の英国人カルビン・ハリス。額は6600万ドルで約78億円(以下、すべて1ドル119円換算)です。2015年3月時点における国内上場企業役員報酬の最高額は12億9千万円であり、5倍以上の開きがあります。2位は47歳のフランス人デヴィッド・ゲッタの3000万ドル(約35億円)。10位のデッドマウスでも1600万ドル(約19億円)です。

 ポピュラーミュージックの歴史は、1920年代から始まる蓄音器普及の歴史と重なります。ポピュラーであるためには、みんなに共有されるための「デバイス」が必要だったからです。みんなに共有され、とことん味わいつくされて初めてポピュラーたり得ます。それゆえポピュラーミュージックは、先行した音楽のすぐれた部分を反復、拡大再生産しながら、もしくは批評的に変えていくことで発展してきました。ほとんどの音楽家が例外なく、好きな曲をコピーし、真似るところから自分のキャリアを始めることからも、そのことがわかります。ポピュラーミュージックの核心には「既存のものの組み合わせ」原理があります。

 その歴史もそろそろ100年。無数のメロディ、ハーモニー、リズムが溶けあって新しい音楽として現れてはいますが、人間が快適に聴けるメロディなどは、この100年である程度出つくした感があります。この状況の延長線上にDJたちが存在する、と考えると現在の状況がよくわかります。

続く「編集の時代」


 では、世界はなぜこの高額の報酬を彼らに与えているのでしょうか? ひとことで言い表すなら、今も未来も、しばらくは「編集の時代」だからです。毎年、世界中で数限りない新曲と新人歌手が現れますが、結局はメロディ、ハーモニー、リズム、歌詞、服装、演出の組み合わせ、つまり「編集のセンス」によってヒットするかどうかが決まっています。DJとは音楽における「編集のセンス」の代名詞なのです。

 勘のいい人はもうお気づきでしょうが、この「編集の時代」は何も音楽に限ったことではありません。米アップル創業者のスティーブ・ジョブズも、日常的な製品における「編集の王」でした。iPhoneが、既存技術の徹底的な洗練された組み合わせによって造られていることは周知の事実です。ウェブビジネスはそれこそ何と何を組み合わせるかの「編集」センス如何によって、成功するかどうかが決まります。

 あなたが「編集」すべき対象は何でしょうか? 

 一度、身のまわりを「編集」の視点で丁寧に見てみてください。ビジネスの種や未来のヒントが転がっているはずです。

 ちなみに、今年のポール・マッカートニー『OUT THERE JAPAN TOUR 2015』のオープニングアクトは、DJによるビートルズやウィングスナンバーのプレイでした。
(文=江上隆夫/ブランド戦略ディレクター)

●江上隆夫(えがみ・たかお)
ブランド戦略ディレクター(有限会社ココカラ代表取締役/ブランドカンパニーラボ主宰)
◆鹿児島生まれの長崎・愛知育ち。大手広告代理店でクリエイターとして広告制作からブランド構築までの仕事に携わる。2005年独立後も広告やブランド構築から商品・事業開発、講演・セミナーなど幅広い分野で活躍中。
◆著書:『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか』(SBクリエイティブ社刊)
◆受賞暦:東京コピーライターズクラブ新人賞、朝日広告賞、日経広告賞グランプリ、日経金融広告賞最高賞ほか
◆所属:東京コピーライターズクラブ会員/(財)ブランドマネージャー認定協会アドバイザー/イノベーションデザイン協会

・ブランドカンパニーラボ  http://brand-lab.jp/

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