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平均年収1440万…あの超高収益企業の謎 異次元の合理主義経営、非常識な営業

文=福井晋/フリーライター
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 製品勉強会は毎週1回開催されるほか、新製品発売前も臨時開催される。それも一方通行の説明ではない。「この説明では顧客に理解してもらえない」など、客先での説明を想定した激しい応酬が、開発部門の社員と営業社員との間で交わされる。製品は問題解決のツールであり、顧客のどんな質問にも答えられるよう、営業社員が製品の使い方を熟知するのは当然というわけだ。

 同社は営業社員が「近くまで来ましたので、ちょっと寄りました」といった御用聞き的訪問を禁止している。目的のない訪問は、時間と経費の無駄だからだ。このため、同社営業社員の客先訪問は週平均3回と、一般の営業社員に比べて驚くほど少ない。「靴底をすり減らすのが仕事」といわれる営業社員のイメージとは程遠い。その代わり、営業所内では顧客の潜在的課題の分析、問題解決提案のための社内各部署との連携調整、プレゼン準備などのデスクワークに没頭している。

 そしてロールプレイング。同社の場合は「事前ロープレ」と「事後ロープレ」を徹底しているのが特徴だ。コンサル営業をしている会社が、プレゼンの練習に事前ロープレをするのは常識だが、同社ではプレゼンがいかにして成約に結び付いたかを再現する事後ロープレも重視している。チームメンバー全員がそれで追体験し、コンサル成功事例を共有するためだ。

モーレツ仕事に報いる高年収

 前出コンサルタントは「キーエンスのような汎用品メーカーで、しかもBtoB(企業向け)の生産財を供給しているメーカーは、付加価値創出が困難で、製品やサービスでの差別化が絶望的に近い。同社は、このハードルをコンサル営業で乗り越えた稀有な例」と評価している。

 同社営業職の場合、入社3年未満の離職率が高く、「野村證券の猛者も真っ青になるモーレツぶり」と、メディアなどの批判にさらされることも少なくない。しかし、3年間苦難を耐えた社員はモチベーションが高く、それ以降の離職率が同業他社より低いのも事実だ。

 また、仕事のモーレツさに対して同社は、高給で報いているといえる。14年11月1日付東洋経済オンライン記事『最新版!「生涯給料」トップ500社』によると、同社はトップとなる生涯給料6億1561万円、平均年収1440万円、平均年齢34.8歳となっている。

その意味で、同社はメーカーの王道を淡々と歩み、合理性の追求で高収益事業モデルを磨いてきたといえよう。
(文=福井晋/フリーライター)

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