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日向咲嗣『「無知税」回避術 可処分所得が倍増するお金の常識と盲点』第15回

「新築戸建ては高くて当然」幻想の崩壊 1千万台続出、大手メーカーの暴利露呈?

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1280万円で安売りしても利益は出る?

 事業展開速度アップを至上命題とするPBは、もともと在庫を抱えることを極端に嫌う傾向があった。売れ残った物件を赤字覚悟で損切りするのは、これまでも各社それぞれの決算期前には、よく見られた光景である。

 ところが、飯田GHDは統合に当たって傘下6社バラバラだった決算期末を昨年度から3月に統一。その2期目となる今年度は、消費増税の駆け込み需要のあった前年度からは一転して消費者心理が冷え込んだ影響をモロに受けたようで、昨年春以降のマイホーム購入意欲低下の度合いは想定をはるかに上回っていた。

 冒頭で紹介した千葉県北西部の現場を例に取ると、10月に完成した全7棟は、翌年1月末になっても1棟も売れていなかった。

 土地の仕入れから引き渡しまでを年2~3回転する「ファストフード」ならぬ「ファストホーム」のビジネスモデルを構築したPBにおいては、建物完成までに完売するのがオキテ。それにもかかわらず3カ月経過しても売れないのは異常事態といえる。そこで、なりふりかまわぬ値下げをした結果、ついに1280万円という前代未聞の価格がついてしまったというわけである。前出の地場不動産業者がこう続ける。

「私が把握している現場では、秋口に2380万円だった物件が半年で1000万円下げて1380万円まで下がりました。在庫期間の長さが全国でも有数だったらしいです」

 驚くのは、それほど大幅な値下げを余儀なくされたにもかかわらずPBは、トータルでは、しっかりと利益を上げていることだ。飯田GHDにおける15年3月期決算を見ると、売上高1兆1880億円に対して、その4.7%に当たる554億円の営業利益を上げていて、約8%から大幅下方修正されたとはいえ、想定外の事態が起きても利益を確保できることを示した。リーマンショック後にそれまで勢いのあったマンションデベロッパーが捨て値での在庫処分によって軒並み赤字に陥ったケースとは、根本的に収益体質が異なることがわかる。

 つまり、「新築戸建て1280万円」は「見切り品」ではあるけれども、現場単位ではしっかりと利益を出しており、決して「投げ売り」ではなかったのだ。

 逆にいえば、大手のハウスメーカーや戸建てを手掛けるデベロッパーが、戸建て住宅において、これまでいかに高い利益を得ていたかということである。

 長年「不動産は高くても仕方ないもの。特に新築戸建ては高嶺の花」と思っていた消費者の常識を根底から覆すだけの潜在的な価格競争力を、PBはまだ持っているのである。
(文=日向咲嗣/フリーライター)

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