NEW
9セルで読み解く 川上昌直のビジネスモデル・シンキング

話題の「オフィスで野菜」サービス、何が秀逸?スモールビジネスにありがちな思考のワナ

文=川上昌直/兵庫県立大学教授
【この記事のキーワード】

, ,

 これを「OFFICE~」に当てはめれば、顧客は「健康になりたい」という「片づけるべき用事」を抱えていますが、だからといって「野菜が必要だ」という発想に直結していません。そこで、「健康」にスポットが当たる場所、例えばフィットネスジムやヨガ教室などに冷蔵庫を設置してみます。ジムやヨガ教室に通う客は、「手軽に新鮮な野菜を食べること」を提案されて初めて、それも片づけるべき用事の一つだと認識するのです。

 そして、事業が軌道に乗って以降は、野菜という製品から派生した「経験」に拡張できないか?といった話まで広げることができます。すなわち、ヘルスケアを行う企業とタイアップして個々の体調の変化などを測定してコントロールするところまでフォローできれば、「健康志向の観点から、改めて野菜を見直す」というなにがしかの新ビジネスに結びついていく可能性は高いです。

「顧客は、野菜が欲しい」から一歩踏み込んで、「顧客は、なぜ野菜を必要としているのか?」に目を向ければ、さらに新たな課金ポイントも見えてくるはずです。客との接点を増やすことは、プロセス的に多くの手数を必要とするため煩雑になる側面はありますが、客に喜ばれ利益を生む視野を広げてくれるのです。

 起業したばかりの頃は、ブランド価値も低く資金も乏しいため、今ある商品やサービスを売ることで精一杯かと思いますが、事業が軌道に乗って以降は、いかに課金ポイントを増やせるか、顧客価値提案のオリジナリティを高めるかが勝負になります。そのためにも、製品を必要とするであろう顧客の「片づけるべき用事」を再考してほしいと思います。
(文=川上昌直/兵庫県立大学教授)

RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合