闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第28回

恐怖の警察学校、執拗な暴力&退職強要の実態発覚!4分の1が退職、ついに訴訟へ

 またB教官はA氏に対し、「お前の実家、金持ちやろ」と何度も聞いた。そして、しつこく親の収入や親が所有する自家用車について質問してきた。B教官は、A氏が金持ちの息子だから気に食わなかった、と疑いたくなる言動を重ねた。

 さらに、授業中、A氏は頻繁に外に立つよう命じられた。そのため、授業にはまったくついていけなくなった。授業をまともに受けさせてもらえなかったA氏は、4月19日の試験で不合格となった。このとき、B教官は「お前は絶対に卒業させん。おっても無駄や。辞職届を書け」と、2時間にわたり退職を迫った。

「教官室に入るときの声が小さい」などという理由で反省文を毎日書かされ、指定の枚数を書いて提出しても、何回も書き直しを命じられた。

精神的に追い詰められる

 この頃の日誌を見ると、精神的に弱ってきている様子が表れている。

・4月17日「最近、元気がなくなってきている。怒られてばかりで弱気になり(略)ずっと『自分は辞めさせられるのでは?』と考えてしまって動きが固くなってしまっている」
・21日「昨日の夜から下痢、吐き気に襲われ、だるさから午前中横になっていた」
・24日「最近『絶対俺は辞めさせられる』とばかり考えて周りが見えない時がいっぱいあった。誓約書も書かされて精神的に弱ってしまった。しかしここで気合を入れて自分の根性を見せたい」

 これに対し、B教官は「エゴのかたまりや」と返事を書き、一日も早く辞めるよう促してきた。ほかにも、B教官は学校でA氏と顔を合わすたびに「早いこと辞めて別の道を探せ。お前おったら迷惑や。辞めろ」と圧力を強めた。

 6月2日には、体調不良を訴えるA氏に対し、B教官は「辞めろ。お前は汚い奴や。最低や」と罵倒した。A氏は病院へ向かったが、その道中、車に同乗したD教官は「なんで辞めへんの。お前のせいで皆迷惑しとるんや」「辞めろ。お前はストーカーと同じや」とB教官同様に退職を強要した。

 病院から戻ると、B教官は、「大げさにしやがって。ただの風邪やろ。お前のせいで業務がストップするんや。早く辞めろ」と怒鳴りつけた。A氏は、「お願いします」と辞めない意思を示した。その後、「辞めろ」「お願いします」の押し問答が続き、B教官は「次に言ったら腕立て3000回させるぞ」と言った。それでも辞めない意思を主張し続けたA氏に、B教官は腕立て1万2000回を命じた。A氏は腕立てをし、270回を過ぎたところで、めまいがして頭を打った。B教官は、「お前はいつも口だけや。辞めろ」と言い放った。

 6月4日には教官3人に囲まれ、「辞めろ」と言われ続けた。そして、6月7日、A氏は血液検査で異常が見つかり、緊急入院した。そこへB教官が現れ、第一声で「お前、向いていないから辞めえ」と精神的に追い詰める発言をして帰った。

 A氏が退院してからもB教官はクラス全員の前で、「お前は給料泥棒や。お前に税金が60万円も支払われとんや。お前は警察官になられへんのに、なんでここにおるんや。お前は端っこに座っとれ」と罵倒した。

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