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怖すぎる税金過徴収の実態 27年間2倍も多く支払い、信用できない納税通知書

文=小川裕夫/フリーランスライター
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「本来、あってはならないことですが、どうしてもミスは発生してしまいます。また、過徴収ではなく、税額を少なく算出してしまうミスも報告されています。税の問題は、徴税者たる行政と納税者たる市民の間の信頼で成り立っています。少なく課税してしまったとしても、後から修正して納税してもらうことになるので、税額を間違えるのは、納税者との信頼を損なう行為です」(同)

 総務省では、課税ミスを防ぐために課税事務の調査研究や職員育成のための研修、税務電算システムを導入した。また、納税者が自身で確認できるように情報開示も積極的に進めている。それでも、ミスがゼロになることはない。

 固定資産税の過徴収が発生する要因はまだある。非課税措置や軽減特例などを納税者が理解していないことだ。例えば、山林でも一般山林と国が指定する保安林とでは税額が異なる。国から指定を受けたものの、土地の所有者がそれに気づかなかったり、登記の変更を忘れていれば、過徴収が発生する。

 医療法人がグループホーム事業やデイサービスセンターといった福祉施設を開設している場合も、同様に非課税措置が取られる。しかし、グループホームやデイサービスは、実施状況を把握しづらいため、事業者からの申告が重要になる。ほかにも、建物などが文化財に指定されることで、非課税措置が取られることもある。

課税ミスは珍しくない

 固定資産税の過徴収を防ぐためには、納税者側からのアプローチも欠かせない。“新座ショック”でクローズアップされることになった固定資産税の過徴収問題だが、実は過徴収が起きているのは固定資産税だけではない。新座市の問題をきっかけに、住民税軽自動車税でも過徴収が発覚しているのだ。さらに、税金ではないが、水道料金や公営住宅の家賃でも過徴収が見つかっている。そんな中で、特に固定資産税が問題視されるのには理由がある。

「10~20年で買い替える自動車などと比べて、土地や家屋は50年以上所有することも珍しくありません。固定資産税は、一度決まった税額を長年にわたって払い続けることになります。納税者側が税額の間違いに気づくことは難しく、修正する機会も少ない。そうなると、間違った課税額で放置されてしまいます。だから、固定資産税の過徴収は特に問題視されるのです」(同)

 前述した、空家等対策の推進に関する特別措置法は、5月26日に完全施行される。同法によって、空き家の固定資産税は実質6倍に引き上げられるだけに、納税者にとって過徴収は今まで以上に重大な問題だ。

 ほとんどの納税者は、市町村から送られてくる納税通知書の金額が間違っているなどとは思わないだろう。しかし、市町村が算出した税額が間違っていることは決して珍しくない。11年の総務省の統計では、土地の税額修正者は全体の0.2%、家屋の税額修正者は0.1%にも上っている。知られざる過徴収の恐怖は、決して他人事ではない。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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