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“高級”仏産ワインの没落 安く高品質なチリ産が逆転か?輸入ワイン市場に異変

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 もともとセントラルヴァレーを代表にブドウ栽培に適した気候・土壌であるのに加え、チリはニューワールドの中で最も早くブドウ栽培が始まったところで、醸造技術の蓄積が進んでいる。フランスをはじめヨーロッパから技術者が多く移り住んだことも関係している。しかも、ブドウの天敵ともいうべき害虫フィロキセラがいないので、ほとんど無農薬でブドウ栽培ができる点も大きい。

 要するに、オーガニックに近いつくりだというわけだ。加えてニューワールドのぶどう酒は一般に軽いのが特徴だが、チリの場合、ヨーロッパから持ち込まれ樹齢を重ねたブドウの木が多く、タンニン分が十分に含まれているため、どっしりした味ではフランス産にも劣らないとも評されている。かつてのチリカベ(主要ブドウ品種のひとつ、カベルネ・ソービニヨンのこと)がブームになったのも、そうした歴史的背景があるからだ。しかも、欧州産に比べて酸味が少ないという特徴もあって飲みやすい。

 しかし、なんといっても安さが決定的だ。人件費を含め生産コストが極めて安いので、それが単価に反映しているという。ことに日本市場では、09年9月にEPA(経済連携協定)が両国間で結ばれたことが価格に影響を与えている。現在、チリからの輸入ワインにかかる関税は、バルクでの輸入(いわゆる桶買いして日本で瓶詰めする)の場合はゼロで、ボトリングしたものは「4.6%または125円/リットル」のどちらか安いほうが課される。対してEPAを締結していないEU域内のフランス産は「15%または125円/リットル」だから、価格競争ではチリのほうが断然有利だ。

 現在、日本とEUの間でも13年春からEPA交渉が始まっており、日本側は15年度中に大筋合意を目指しているが、なかなか進展していないのが現実だ。その点からしても、チリ産優位は動かないようだ。「同じボトル1本1000円台のものなら、チリ産がお買い得だ」と話す業界関係者は少なくない。

 加えて、日本国内におけるワイン消費市場の変化も無視できない。数年前までは日本は香港、中国などと並ぶ、フランス産・中高級ワインのお得意さんだった。しかし長引く不況もあって、このところ急激に伸びてきているのは500円を切る価格帯である。これは世界市場の動きと同じ方向でもあるが、この点もまた価格はリーズナブルで、その割に品質がよいと定評のあるチリ産に有利に働いている。

 フランス産としては、価格競争による量的追求よりも、AOC(原産地統制名称)ワインに象徴される高品質高価格、そしてブランド力で勝負するしか道はないだろう。マーケティングの原則だが、量と質の二兎を追うと、大きなツケが回ってくる可能性すらある。日本の景気回復は、ブランド力のあるフランス産にとって有利に働くこともあり得るのだから。
(文=清丸恵三郎)

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