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TENGA、革命的アダルト神器はいかに誕生?“血のにじむような”開発、世界中で大ヒット

構成=猪口貴裕
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–「TENGA」海外進出の萌芽は、その時点で生まれていたわけですね。

松本 しかし、バブル崩壊の影響もあって会社が傾き、クラシックカー専門の整備会社に転職しました。そこでは、クラシックカーをバラバラに分解して、お客さんと相談しながら仕上げていくのですが、大変喜んでもらえました。その時、「すごく価値のある仕事だな」と実感し、お客さんに提供する面白さを知りました。それが現在のモノ作りへの想いにつながっています。ただ、当時私は責任者だったのですが、この会社も別の事業で失敗して、半年ぐらい給料の未払いが続きました。そうなると、光熱費や家賃が払えなくなり、借金もかなり作ってしまいました。完全に生活ができなくなり、地元の静岡県に戻り、今度は国産中古車のセールスを始めたのです。

アダルトショップで感じた違和感

–同じ自動車業界ですが、今度は技術職ではなく販売の仕事を選んだのですね。

松本 他の販売員より車に詳しかったので、営業成績は入社した月から辞めるまでの3年間、ずっとトップでした。商談の際、お客さんに今までの知識と経験を元にきちんと説明できたのがよかったのだと思います。それまでは金銭的に苦しかったですが、その会社は歩合制だったのでかなり稼ぐことができ、借金を完済、貯金もどんどんできました。ただ、生活の安定と反比例するように「モノづくりをしたい」「新しいものを生み出したい」という欲求が日々強くなっていきました。

–具体的に「何を作りたい」というのは頭の中にあったのですか?

松本 その時点では何も決まってなかったのですが、暇さえあれば家電量販店やホームセンター、カー用品店など、ありとあらゆるお店を回りました。それまでは貧乏だったので買い物とは無縁で、車以外のことはほとんど知らなかったため、とても新鮮でした。ただ漠然とお店に並ぶ製品を見るのではなく、「これは、どういう人たちに、何を提供したくて作ったのか」と考えながら見ていたので、クタクタになりましたが、そのうち「コンセプトが明確なものほど売れている」ということがわかってきました。とりわけ、日本の製品は高性能な上にデザインも良く、保証もしっかりしており、あらためてそのクオリティの高さに感心しました。半年ぐらいそういう生活を続け、久しぶりにアダルトショップに入った時のことです。中に入った瞬間、ものすごい違和感を抱きました。

–どういう違和感だったのでしょうか?

松本 それまで見てきた、いわゆる一般製品は、ブランドが明確化されていて、スペックもわかりやすく紹介されていました。例えば、パソコンの場合、初心者でも使えるように、丁寧に製品説明がされています。しかし、アダルトグッズはブランドも価格もよくわからないし、問い合わせ先はおろかホームページアドレス、バーコードすら書いていない。消費者のための情報が整理されていなかったのです。また女性の裸や少女のイラストが載っていたり、製品自体が女性器の形を模したものだけでした。最大の違和感は、「自慰は卑猥で猥褻なことだから、より猥褻な気持ちになって使って下さい。」というメッセージを発していたことです。自分の周りの男性はみんな自慰行為をしているし、そういう会話もします。しかし、そこにいると、自慰はまるで特殊なこと、いかがわしい行為のように思えてきました。後で調査したところ、男性の95.4%は自慰行為をしています。そもそも、性欲は根源的な欲求なのに、それを解消するためのアダルトグッズが猥褻で特殊なモノ扱いになっている。この状況は間違っていると感じました。「世の中に一般プロダクトとしてのアダルトグッズがないのなら、自分で作ろう」という結論が出ました。アダルトショップに入ってから、ほんの15分ぐらいの出来事です。

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