TENGA、革命的アダルト神器はいかに誕生?“血のにじむような”開発、世界中で大ヒットの画像2

アダルトグッズ購入者は、たった1%

–それまで、アダルトグッズに興味はあったのですか?

松本 それなりの知識はあり、以前から「面白いジャンルだな」と思っていました。当時、自分が作ることは考えていませんでした。

–一種の天命のようなものですね。

松本 調べてみると、当時はアダルトDVDを購入やレンタルするのは10人に1人、アダルトグッズを実際に買うのは、さらにその中の10人に1人という割合でした。つまり、世の男性の100人に1人しかアダルトグッズを買っていなかったのです。逆に考えると、99人が未開拓ということになるので、「品質が良く、安心して使えるものを世に出せば、その99%の人たちがユーザーになってくれる可能性がある」「誰もやらないんだったら、自分でやろう」と思いました。

–その後、すぐに行動に移したのでしょうか?

松本 早かったです。周囲の反対を押し切って会社を辞め、1000万円の貯金を元手に、1人で自主制作を始めました。退社した翌日から、朝6時に起きて深夜2時まで制作する日々が続いたのですが、とにかくつらかったです。「仕事をしていない=社会に貢献できていない=遊ぶ資格はない」と思い、盆も正月もなく制作に没頭しました。例えばボールペン1本でも、お店で買えば安いですが、自分で一から作るとなると大変です。自主制作というのはそういうもので、時間とお金がどんどん消えていきました。1カ月かけて作ったものが、結果的に全くダメだった時は本当に愕然とします。しかし、簡単に解決できることであれば誰かがすでにやっているわけで、苦労するのは当たり前です。あきらめずに必死にやることで、世の中にない革新的なものが生み出されるわけです。

–具体的には、どのように制作を進めていたのですか?

松本 アダルトグッズに関しては素人なので、とにかく世に出ている製品を片っ端から買って調べていきました。それぞれ2つずつ買い、ひとつは分解して、もうひとつで試してみるのです。そして、分解したものを見本に、分析していきました。そうすると、製品の悪いところがわかってくるので、それらはすべて改善していきます。

–挫折しそうになったことはありますか?

松本 常に不安はありました。闇の中を手探りで前に進むようなもので、自分が進んでいるかどうかさえわからないのです。周囲からは「できるわけがないから、早くやめたほうがいい」と言われました。実際、1年半ぐらいたって何の成果も出ず、「まだ貯金が残っているから、今なら社会復帰できるのではないか」という考えが頭をよぎりました。しかし、ここでやめると「アダルトグッズを作ろうとして失敗した人」になってしまいます。それは嫌だったし、なによりアダルトグッズの現状が変わりません。追い詰められた末に、「どんなことがあっても成功するまでやればいい」と覚悟を決めました。

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