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TENGA、革命的アダルト神器はいかに誕生?“血のにじむような”開発、世界中で大ヒット

構成=猪口貴裕
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発売1カ月で10万個を売り上げ

–どうやって製品化にこぎ着けたのでしょうか?

松本 先ほどお話ししたアダルトショップの店長から、「今日、(AVメーカーの)ソフト・オン・デマンド(SOD)の営業マンが来ますよ」という連絡をもらったのです。それですぐにショップに行きましたが、その時はお忙しく話を聞いてもらえませんでした。その後、何度もショップに足を運んで、やっと営業の方と話をすることができたので、「私は、自主制作でアダルトグッズを作っているのです」と説明しました。それに営業の方が共感してくれて、「本社で企画を提案してみます」と約束してくれたのです。しかし、その後、具体的な進展がないまま1年近くが過ぎました。その間、何度も試作品を送ったり、東京の本社へ足を運んだのですが、なかなか前には進みませんでした。ところが、自主制作から2年近くがたった頃、SOD様から「一度だけ、会議に来てください」と言われたのです。私は、「これが最初で最後のチャンスだ」「後悔のないように、今まで作ってきたものと自分の思いを精いっぱい伝えよう」と参加しました。試作品を見せながらプレゼンテーションをしていると、当時、代表取締役だった高橋がなりさんに「上京の意思はありますか?」と聞かれました。会議が始まって30分もたっていなかったと思います。もちろん、二つ返事でOKして上京、それから1年ほどの準備期間があり、05年7月7日に「TENGA カップシリーズ5種」が発売されたのです。

–最初の売れ行きは、どうだったのでしょうか?

松本 当時、「アダルトグッズは5000個売れれば成功」といわれていました。発売前に小売店向けのプレゼンテーションを行ったところ、5万個の予約発注をいただいたので、最初の3カ月間で10万個を販売目標としました。しかし、ふたを開けてみると、1カ月で10万個を売り上げたのです。そして発売から1年で100万個の販売を記録しました。

–「TENGA」は、その品質の良さに定評がありますが、それ以外にヒットした要因は何だと思いますか?

松本 それまでのアダルトグッズの寿命は3カ月、長くて半年といわれていました。中身は同じようなものでも、パッケージを新しくすれば売れるので、メーカー側も次々に新製品を出すのです。一つひとつ作り込むことなく、次々に出していく、という構図です。しかし、それではただ消費されていくだけでリピーターが生まれづらく、成長性もありません。「TENGA」も、当初は「すぐに売り上げが落ちる」という声が多かったのですが、ありがたいことに10年間成長し続けています。初代「TENGA」も、時代に合わせて新しい技術を取り入れているので、少しずつ改良しています。改良は、一般製品では当たり前のことです。アダルトグッズでも、当たり前のことを当たり前にやるということが大切なのだと思います。

女性向けも発売、医療の現場でも活用

–製品開発は、どういう体制で行っているのでしょうか?

松本 最初は私が中心でやっていたのですが、今は若いスタッフも増えており、チームを組んでいます。若い人には若い人の発想があり、私には経験があるので相乗効果が生まれるのです。3月末に、私が考案した新製品「バキュームコントローラー」が発売されましたが、これは「ディープスロート・カップ」に装着すると電動で吸引してくれるというものです。吸引されることで、自然に挿入することができます。これは、3年前から構想があり、ようやく製品化となりました。新しい快感を味わってもらいたいというのも理由ですが、性機能障害の治療にも役立てていただきたいという思いが出発点です。

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