その戦略を象徴するのが、店舗の商品についている「バーコード値札」だ。全商品の値札についているバーコードを専用アプリで読み取ると、その場で「ヨドバシ」の該当ページに移る。まさにショールーミングを逆手に取った方法といえる。そのため、キャンペーンや特売品などを除けば、店頭もネットも価格は同じで、ポイントも共通化されている。また、店舗の販売実績としてカウントされるので、店舗からの不満も出ない。

 リアルからバーチャルに誘導する戦略では、店舗に在庫がないような「レア商品」がロイヤルカスタマー(優良顧客)を生む効果もある。例えば、特定ブランドのレコード交換針などがそれだ。音楽CDの販売額がネット配信に逆転される時代に、アナログレコードを愛聴しているマニアは数こそ少ないが、アイテムへのこだわりは強い。

「『ヨドバシ』なら、あの針が必ずある」と信頼されれば、顧客満足度が高まり、ロイヤルカスタマーになる可能性も高まる。レコード交換針を買うついでに、レコードクリーナーやインテリア雑貨、酒類や本などにも手が伸びるかもしれない。250万アイテムを揃え、ワンストップ・ショッピングが可能な「ヨドバシ」の強みがそこでも発揮されることになる。

王者「Amazon」最大の弱み

 アマゾンは、国内最大級の小田原フルフィルメントセンターなど、全国に超大型物流拠点を次々と建設し、品揃えの急拡大による総合小売化を進めている。さらに、家電をはじめとする低価格攻勢、業界の先頭を切った配送無料化、多くのネット販売業者を取り込む「マーケットプレイス」のECモール化で、日本のネット通販業界を席巻している。今や、飛ぶ鳥を落とす勢いに見えるが、弱みもある。

 その一つが、「ヨドバシ」と違い、当日配送の完全無料化ができていないことだ。当日配送を希望する場合、年会費3900円の「Amazonプライム」に登録するか、「お急ぎ便」で追加料金を支払う必要がある。「Amazon」の業務を請け負う配送業者は、13年4月に佐川急便からヤマト運輸に変更された。その背景には、当日配送による取扱量の増加などに対し、佐川が運賃の値上げを打診、決裂したという事情があり、その影響で今も当日配送の完全無料化が実現できないといわれている。また、通常配送の翌日可能エリアもそれほど大きくはなく、東京23区内でも翌々日に配送されるケースが多い。そういった点も弱みといえるだろう。

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