「Thinkstock」より
ひっきりなしにスマートフォン(スマホ)をタップしていて、ふと感じるときがある。
「こうしてスマホをタップしている間に、私の人生は終わるのかな」
50代に入った筆者だけの感覚ではないだろう。大多数の人は、スマホと向き合っている時間が人生の中で大部分を占めている。筆者よりももっと若い世代になればなるほど、毎日自分の時間がどんどん細切れになっていくことに気づいているはずだ。
『1日10分!戦略思考トレーニング33 クイズでビジネス思考力を鍛える!』(鈴木貴博/日経文庫ライト)
筆者の取引先企業では、会議の時間設定はデフォルトが1時間単位から30分単位に変更されて久しい。この会社では比較的多忙な社員の場合、毎日十数個の会議に出席しているようだ。そのたびに彼ら彼女らは頭を切り替える必要がある。
外回りの移動方法も昔とずいぶん変わった。社外のアポイント先に移動する際にも、路線検索を駆使することでJRや地下鉄の乗り継ぎも数分単位の無駄はなく、取引先には魔法のようにいつも5分前に到着することができている。
アポの合間のひと時はスタバやドトールで時間をつぶすが、そこも憩いの場ということにはならない。20分ぐらいのわずかな合間を使って必死にスマホをタップしてメール返信をしているうちに時間は過ぎていく。財布の中に大量に入っている喫茶店のレシートは、コーヒー代というよりもメールを打つための席代といえる。
生産性向上には限度がない
このような細切れ型の仕事のスタイルは、変えられないのだろうか?
残念な結論だが、基本的にはこれから先の未来を生きる社会人にとって、このようなワークスタイルが変わる可能性は非常に低いと断言できる。たとえスマホをやめたとしても、それはなんの解決ももたらさない。
その理由は簡単で、経済というものは常に生産性の向上を求めるからだ。