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「ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」山本一郎・中川淳一郎・漆原直行

障害者を求め続ける24時間テレビが超高視聴率、を気持ち悪いと思うことが許されない社会

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 最初はなぜか『ドラえもん』に登場するジャイアンの話から入っていくが、いつのまにか「うちの会社としては」にたどり着く。そして、こんな身も蓋もない結論になる。

「『社で検討したところダメでした』って、つまるところ『上司に相談したらダメだと言われた』なのだが、『社で検討したところ』には、結果を引き受けたくはないオーラが漂う」

「『うちの会社』は、すぐそこで誰か一人が解決できそうな問いであろうとも、絶対にそこでは答えない。すぐに答えてしまいそうな仕組みを流布してはいけないように出来ている」

 なんのこたぁない。「うちの会社として」と何やら巨大組織を連想させて、大仰な仕組みと厳密なる検討の結果、自分に責任がないようにしているだけである。あるいは、重大案件に必死に全社一丸となって取り組む様をパフォーマンスとして見せ、カネをより多くもらうための正当性を付与しているだけである。「うちの会社としては」という一つの言葉に違和感を抱くと、ここまで話を膨らませられるのだ。

誰かを幸せにする原稿でなくてはいけないのか?

「うちの会社としては」という言葉は安易に使いがちだが、著者はこうして一つひとつの言葉に対し、著者にとっての正直な気持ち=世間にとってのひねくれ解釈を加えていく。全編に通じるのは、著者が7年間のサラリーマン生活で、いかにバカげたしきたりや、非合理的な慣例によりビジネス・社会が回っているかを感じ取った様を描いた点である。それこそ、ひねくれ者にとっては違和感ありまくりの事象に対し、丁寧な異議を呈した点は案外若手ビジネスマンや学生にとっても参考になるかもしれない。

 また、本書で一つ私自身参考にさせられたのが、「むかつく言葉を一つ準備→そこから周辺の関連しそうなことを書きまくる」というアプローチが思わぬ文章の展開を呼ぶ、ということだ。これはいい思考のアイディアをいただいたぜ、ウヒヒ、と思った次第である。

 別に「ひねくれ者」であろうが、「マイナー」であろうがいいではないか。嫌いなものは嫌い、ウザいことはウザいと言い切れるほうが恐らく人生はラクである。あと、この本に書かれたスタンスと著者の考えが好きであろう人間が仮に世の中に10%しかいないとしても、日本全体で考えれば約1270万人もいる計算となる。それだけ仲間がいれば、この世は充分である。

 最後に私が「禿同」し、「まぁ、世間ってそういうもんだよな」と改めて認識し、色々なことを諦める気持ちを強めた一節を紹介しよう。

「批評性が比較的強い原稿を出した際に『面白いんですが、この原稿を読んで、誰がハッピーになるのですか?』と問われたことがある。メールで送られてきた文面を見ながら目を疑った次に相手を疑い、『原稿とは、ひとまず人をハッピーにしなければならないのでしょうか?』と返すと、『まぁでも、わざわざdisる必要はないですよね~』と再度返されてしまう。そのポップな澄まし顔に対する返答をどうにも用意できなかった」

『24時間テレビ』が37回も続く社会というのはまぁ、こんなもんなのである。しかも、いまだに日テレの社員にとっては年間でもっとも大切な一日になっているのである。
(文=中川淳一郎/ネットニュース編集者、PRプランナー)

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