「Thinkstock」より
機能性表示食品は特定保健用食品(トクホ)と違い、国の厳しい審査・許可が不要で、届出をすれば「企業の自己責任で、科学的根拠に基づく表示が可能」という手軽さが特徴だ。
それゆえ、消費者庁への届出は4月中旬までに100件を超え、そのうち形式上のチェックを終えた第一陣として、8件が受理された。キリンビールのノンアルコールビールやライオン、キユーピー、ファンケルのサプリメントなどがそれだが、ベンチャー企業・リコムのサプリメント「蹴脂粒」がメディアなどで問題視【編注1】されている。
蹴脂粒は、エノキタケから熱水【編注2】などで抽出した成分が配合されたサプリメントだ。リコムは、同商品の表示について「体脂肪(内臓脂肪)を減少させる働きがあります。体脂肪が気になる方、肥満気味の方に適しています」という内容を消費者庁に届け出た。1日に摂取する目安となる4粒(1.2グラム)に含まれるエノキタケ抽出物は、400ミリグラムだ。
トクホはダメで機能性表示食品はOKの謎
同社は09年、同じくエノキタケ抽出物400ミリグラムを含む茶系飲料「蹴脂茶」をトクホとして申請していた。
しかし、内閣府の消費者委員会の調査会【編注3】が11年に了承後、同じ内閣府の食品安全委員会の調査会【編注4】が、安全性に懸念を示した。まず、トクホの安全性と効果について調査する消費者委員会の調査会が11年12月9日、蹴脂茶を了承した。ただし、審査内容が企業の権利・利益を侵害する恐れがあるとして、公表されている議事要旨は以下のみである。
「エノキタケ抽出物を関与成分とし、体脂肪が気になる方や肥満気味の方に適する旨を保健の用途とする食品(茶系飲料)〔株式会社リコム〕 調査会として了承することとされた」
つまり、どのような議論の末に了承されたのか、などについては、何もわからないのだ。蹴脂茶と成分が同じ蹴脂粒の機能性表示食品の申請では、「関与成分は腸管から吸収された後、血液の循環に運ばれ脂肪細胞の表面に存在するベータ受容体への結合を介して脂肪の低減作用を発現している可能性が示唆されました」となっている。