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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

機能性表示食品を食べてはいけない!効能・安全性に疑問の原料を使用している事例が発覚

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 しかし、今年2月に食品安全委員会の調査会が発表した「評価書案」【編注5】で、疑問が投げかけられた。まず、申請者はエノキタケ抽出物の成分が脂肪を蓄える脂肪細胞の表面にある物質と結合する際の作用について、動物の組織などを使って成分の反応を調べる基礎的な試験管内試験(イン・ビトロ)で、3本の学術論文を根拠にして説明をしている。しかし、マウスなど実験動物を使う生体内試験(イン・ビボ)では、4本の学術論文を根拠に説明をしているが、「実際にその機序(メカニズム)で作用していると判断するには十分なデータが示されていない」というものだ。

 2つ目は、その脂肪細胞に対して働く作用があるとすれば、「その作用によって心血管系、泌尿器系、生殖器系など、多岐にわたる臓器に影響を及ぼすことは否定できない」というものだ。同じ作用がある医薬品の場合、精神神経系や循環器系などに副作用の報告があるという。そこで、仮にその作用があるのなら、「提出された書類からは本食品(蹴脂茶)の安全性が確認できない」「作用機序及び安全性について科学的に適切な根拠が示されない限りにおいては、本食品の安全性を評価できない」とされた。

 つまり、リコム側が提出した資料は科学的な根拠にはならない、というわけだ。

リコムの反論

 これに対して、リコムは同社のHP【編注6】で反論している。まず、「作用機序が示されていない」という点については、以下だ。

1.「生体内の作用機序の説明は学会論文4報を提出し十分に説明しています」

2.「その4報のデータに基づいて、平成23年12月9日に内閣府消費者委員会の調査会において、作用と機序は了承されています」

「作用機序が医薬品と同じなので影響が否定できない」という点については、「(食品成分)作用は、医薬品よりはるかに弱く、1日摂取目安量は生エノキタケに換算すると4グラム程度にすぎません(エノキタケ抽出物として0.4グラム)」と主張している。

 安全性については、「ヒト試験では、心拍数や血圧や血液成分などにおいて有害事象は認められていません」と反論している。

4段階の審査で厳しくチェック

 消費者委員会が了承した一方で、食品安全委員会は疑問を投げかけた背景には、以下のような事情がある。

 消費者庁長官からトクホの許可を得るためには、次のような4段階の審査【編注7】を受けなければならない。

(1)消費者委員会の調査会(安全性と効果の判断)
(2)食品安全委員会の調査会(安全性を中心に審査)
(3)消費者委員会新開発食品調査部会(改めて安全性と効果の判断)
(4)厚生労働省医薬食品局(医薬品の表示に抵触しないかの確認)

 蹴脂茶の場合、(1)で了承されたが、(2)で疑問とされた。次いで、5月12日の食品安全委員会(第560会合)で、評価書案通りに「安全性が確認できない。そのため、評価することはできない」とする最終的な評価書がまとめられ、消費者庁に通知された。

 今後、(3)の消費者委員会、しかも調査会より上位の新開発食品調査部会で、あらためて安全性と効果について判断が下される。その後、(4)を経て、最終的な結論が出されるという段取りだ。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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