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日向咲嗣『「無知税」回避術 可処分所得が倍増するお金の常識と盲点』第16回

新築戸建て、1千万円台時代突入 価格&常識破壊する新興業者、大手は高額販売費上乗せ

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 それでいて、かなりの大きな地震にも耐え得る強固な設計になっているのも、独自の技術開発ができるだけのスケールメリットを生かした結果だ。

 田中氏によれば、PBが販売する建て売り住宅の標準的な建築原価は、一棟当たりなんと850万円程度だという。地価が安い郊外に、1000万円台の物件が急増しているのは、まさにPBが建築費原価の安さを武器に、大量に建てているからである。

「建築原価は、東京オリンピックの建設ラッシュで職人の人件費が高騰して少し上がりましたが、飯田グループホールディングス(GHD)は6社統合によって、今後よりコストの安い建材を使うことで、さらなるコストダウンを図るでしょう」(田中氏)

PBとパソコンはビジネスモデルが酷似?

 意外に思われるかもしれないが、現在のPBのビジネスモデルに最もよく似ているのは、1990年代中盤以降にアメリカで急成長を果たしたデルやコンパック、ヒューレット・パッカード(HP)などの新興PCメーカーだ。

 IBMは、PC/AT互換機の仕様を公開したことで、自ら基幹部品から技術開発しなくても、CPUやメモリなどをオープンな市場で自由に調達できるようになった。それにより水平分業で、より安くパーツを仕入れ、より安くアセンブリ(組立)できる工場に製造を依頼すれば、自らは巨額な投資をしなくても激安PCを大量に販売できる仕組みができあがったのだ。

 この仕組みが、いわゆる「ファブレス」(工場を持たない)である。飯田GHDは、いまでこそグループ内にプレカット工場を持っているが、統合するまでは6社ともにファブレスで、外部の工場からプレカットされた材木を仕入れていた。維持に巨額の固定費がかかる自社工場を持つ大手ハウスメーカーとは、コスト構造が根本的に異なることがわかる。木造建築の世界では、すでに20年以上前からプレカット工法が導入されており、住宅設備も含めれば、オープンな市場で資材・パーツの調達が可能だった。

 そのため、ちょうど東京・秋葉原の小売店が「ショップブランド」と呼ばれるPCを売っていたのと同じように、街の工務店が建売住宅や注文住宅を建築して、それなりに利益を上げている。しかし、ひとたび価格競争に巻き込まれると、ショップブランドが淘汰されていったように、中小の工務店も相当の苦戦を強いられるようになるだろう。

PBには販売部門がない

 デルなどの新興PCメーカーが価格破壊を武器に市場を席巻したのとは、根本的に異なる点がPBにはある。それは、ファブレスならぬ「セールスレス」だ。

「飯田GHD傘下6社のうち、一般消費者向けの販売部門を持っているのは飯田産業と東栄住宅だけで、どちらもその規模はかなり小さいです」(同)

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