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日向咲嗣『「無知税」回避術 可処分所得が倍増するお金の常識と盲点』第16回

新築戸建て、1千万円台時代突入 価格&常識破壊する新興業者、大手は高額販売費上乗せ

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 驚いたことに、年間約1万棟(2015年3月期実績)建てている一建設やアーネストワンですら、販売部門はないという。では、PB物件は、いったい誰が売るのか。それは、一般の不動産仲介業者である。

 不動産仲介の世界では、いわゆる「両手」と呼ばれる、売り主と買い主双方から仲介手数料をもらえる案件は、信用力のある大手でないとなかなかありつけないものだが、PBの新築戸建てに関しては、どこでも自由に扱えるため、PB物件販売に力を入れる業者が急増。今では仲介業者が自ら広告を出して売ってくれるほどになった。

 販売に莫大な経費がかかる新築マンションと比較してみれば、それがどれだけコスト削減に貢献するかがよくわかる。新築マンションは、専用サイトを開設して派手な宣伝広告を行う一方、駅前にモデルルームを設置して、そこに専属の案内係と販売代理の営業部隊を常駐。もし売れ残ったら、売り切るまで莫大な固定費を負担しなければならない。PBの戸建ての場合、販売は成功報酬で外部に委託されているため、販売にかかる固定費はほとんどない。もし売れ残っても、現場単位で損切りすれば痛手は最小限で済む。

 つまり、PBの戸建て価格には、直接の販売経費がほとんど含まれていないのだから、安いわけである。

 客側のデメリットを挙げるとすれば、買い主が不動産価格とは別に、仲介手数料(物件価格の3%プラス6万円が上限)を負担しなければならないことだが、レジデンシャル不動産法人のように、買い主からの仲介手数料は無料にして、売り主のPBからのみ手数料をもらう「片手仲介」が最近は増えてきた。仲介手数料無料の詳しい仕組みについては、同社HPを参照いただきたい。

「当社は、仲介手数料だけでなく、専門知識と資格を持ったスタッフが建物検査も無料で実施しています。PB物件は安い分、『手抜き工事などがあるのでは』といった不安をお持ちの方も多いので、ご購入いただくに当たっては、われわれが事前にしっかりと細かいところまでチェックして取引をサポートしています」(同)

 つまり買う側は、客の利益に忠実で優秀なエージェントを先に見つけてから物件を決めることができるわけだが、PBにとってはそこが大きなアキレス腱でもある。

 売れ残ってしまった場合、新築マンション販売のように、専属営業部隊が「やる気と根性で売り切る」ことができない。とにかく価格を下げて客寄せするしかないため、決算直前シーズンになると、まるで季節物の洋服のように、新築戸建てバーゲンが毎年の恒例行事となっているわけである。そのバーゲンが不動産相場に与える影響は、決して小さくない。

 果たして、高額だったPCがすさまじい価格崩壊を起こしてコモディティ化していったのと同じ軌跡を、建て売り住宅もたどるのだろうか。その動きからは、当分目が離せない。
(文=日向咲嗣/フリーライター)

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