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小林敬幸「ビジネスのホント」

超有望のドローン市場、実はビジネス的な“うまみ”ゼロ?ルンバを超える秘策がある?

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
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(2)輸送用途に注目する

 民生用ドローンの将来規模については、輸送用途がほかの用途と桁が違うほど大きい。山間地や離島への輸送など、代替するべき需要が大きく存在しているからだ。

 すでに中国では、順豊エクスプレスが山間部向けに、1日当たり延べ500回の無人機による宅配サービスを展開している。また、アマゾンやピザハットによる利用も、輸送用途の一種である。

 実は日本には、農薬散布用の無人ヘリコプターが約2600機稼働している実績がある。これは、大きな重量に耐えるために、電気ではなくガソリンエンジンで動き、主プロペラは一つだ。輸送に使うには、大きな荷物を積む必要があるため、電動でマルチプロペラのドローンよりも、農薬散布用ヘリの発展形のようなものが使えそうだ。

 ただし、これこそ法制度の整備や飛行ルート上の土地所有者との調整などが必要となり、ビジネスとして立ち上がるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

(3)消費者向けパーソナルアシスタント「妖精ドローン」

 これは私のアイデアだが、個人の愛玩用途も含めた、パーソナルアシスタントとしてのドローンもあり得るのではないだろうか。自宅など屋内で使うことを前提に、手のひらに乗る大きさで、スマホと連携して画像と音声で持ち主とコミュニケーションする。『ピーター・パン』に出てくる、ティンカー・ベルのような「妖精ドローン」とでもいうべきものだ。

 一人暮らしの利用者が自宅に帰り、ドアを開けるとパタパタと飛んできて「おかえり」と言うなど、話し相手になる。見知らぬ人が部屋に入ってくると、利用者のスマホに連絡する警備機能や、自分の後ろ姿をチェックする自撮り機能、高齢者の場合は活動状態を見て異常があれば、別居している家族に知らせる見守り機能なども考えられる。

 高齢者は、財布や眼鏡の置き場所を忘れたりする場合も多いが、「眼鏡は、どこ?」と聞くと、飛んで行って「ここだよ」と教えてくれるパーソナルアシスト機能などもあるとうれしいだろう。

成功すれば“ルンバ超え”も期待できる?

 屋内での使用を前提にする限り、規制やプライバシー侵害の問題もほとんどない。風がないため、軽くても吹き飛ばされることもない。また、小さくて軽ければ、落下しても利用者がけがをする心配もない。

 個人向けのため、成功すればかなりの販売が期待できる。愛玩用ロボットとしては、AIBO(ソニー)が15万台販売されたともいわれている。愛玩用途に加えパーソナルアシスト機能をつければ、妖精ドローンは累計100万台以上出荷したロボット掃除機・ルンバ並みの販売数も可能かもしれない。

 技術的には、GPSではなく、壁などの間取りを立体的に把握してぶつからないように飛行するSLAM技術を応用する。これは、自動車の自動運転装置と融通性のある最先端の技術だ。

 愛玩用だといって、あなどるなかれ。画期的なイノベーションは、いつも最初は「おもちゃ」と非難されるものなのだから。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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