ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 日本の自動車企業、覇権奪われる  > 2ページ目
NEW
カール教授の超入門ビジネス講座

日本の自動車メーカーが、アップルとグーグルに覇権を奪われる日 可能性大といえる理由

文=平野敦士カール/ビジネス・ブレークスルー大学教授、ネットストラテジー代表取締役社長
【この記事のキーワード】, , ,

 PC市場では、ハードウェアはコモディティ化(均質化)していき低価格競争へと突入する一方で、ソフトウェアとマイクロプロセッサというプラットフォームを握ったウィンテル連合(マイクロソフトとインテル)が覇権を握ったことは周知のとおりだ。それと同様に、最終的にユーザーをダッシュボードのOSプラットフォームを提供するグーグルアップルなどが握り、EVというハードは誰でもつくれるコモディティ化が進む可能性があるのだ。

ビル・ゲイツの気づき

 では、いかにしてビル・ゲイツはOSの下請けからパソコン市場の覇者となれたのだろうか。

 その歴史を紐解くと、「戦略的経営者」がいかに長期的な視点で業界全体の未来を予測しながら、今現在の経営判断を行っているかが理解できる。それこそ筆者がプラットフォーム戦略思考【註1】と呼ぶものだ。

 残念ながら日本企業の経営者、特にメーカーやコンテンツ提供企業の経営者と話していると、「良いものをつくれば売れる」という「メーカー思考」を信じたい人は依然として多い。実際にヒット商品が生まれることで業績が急拡大する経験をしているからだろう。しかし、残念ながらヒット商品の効果は長くは続かない。常にヒット商品を生み出し続けることが必要なのだ。

 もっとも、あの天才スティーブ・ジョブズも元々はメーカー発想の強い経営者のひとりだった。ジョブズはアップルを一度追放され、復帰してからiPodやiTunesという大ヒット商品とプラットフォームを成功させるまで、約20年間プラットフォーム戦略思考について懐疑的だったといわれている(詳細は次稿)。

 一方、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、かなり早い段階でプラットフォーム戦略思考の重要性に気がついていた。そして、1980年代にはコンピューターメーカーの巨人だったIBMから、その覇権を奪い取ることに成功した。

 では、ゲイツは具体的にどのようにして、それを成功させたのか。歴史を振り返ってみよう。

時代を見通す力と、巧みな契約交渉術

 マイクロソフトは、まだコンピューターが研究所や大企業向けの高額な大型装置であったメインフレーム全盛期、IBMから個人向けPC用のOS開発依頼を受けたものの一旦断った。そしてOSを開発していたある企業をIBMに紹介した。しかしその企業もIBMの依頼を断ったため、再びマイクロソフトのもとに依頼がきたのだった。

平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長

平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長

米国イリノイ州生まれ。麻布中学・高校卒業、東京大学経済学部卒業。


株式会社ネットストラテジー
代表取締役社長、社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事。日本興業銀行、NTTドコモを経て、2007年にハーバードビジネススクール准教授とコンサルティング&研修会社の株式会社ネットストラテジーを創業し社長に就任。ハーバードビジネススクール招待講師、早稲田MBA非常勤講師、BBT大学教授、楽天オークション取締役、タワーレコード取締役、ドコモ・ドットコム取締役を歴任。米国・フランス・中国・韓国・シンガポール他海外での講演多数。


著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)『図解 カール教授と学ぶ成功企業31社のビジネスモデル超入門!』(ディスカヴァー21)『新・プラットフォーム思考』・『シリーズ 経営戦略・ビジネスモデル・マーケティング・金融・ファイナンス』(朝日新聞出版)監修にシリーズ18万部を突破した『大学4年間の経営学見るだけノート』『大学4年間のマーケティング見るだけノート』(宝島社)など30冊以上。海外でも翻訳出版されている。

日本の自動車メーカーが、アップルとグーグルに覇権を奪われる日 可能性大といえる理由のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!