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シャープ、裏目に出た「蓄積の戦略」と「まじめな企業文化」 銀行団は救世主となり得るか

文=長田貴仁/岡山商科大学経営学部教授(経営学部長)、神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー
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かつての三洋と同じ状況

 現社長(7代目)の高橋興三氏は就任直後から「けったいな文化を変える」と発言している。具体的には、上司を「社長殿」「部長殿」など二重の敬称で呼ぶ、事前の目標数値を下回ると「×」がつく減点主義の評価、根回しが横行し社長訓示を聞くだけの「セレモニー」と化した会議、部署内で簡単な報告事項にも形式ばった書類を準備する、といった悪しき慣習である。

 たしかに、筆者も取材を通してシャープのこのような企業文化を垣間見た。良く言えば、同社の社員はそこまでしなくてもと思うぐらいまじめなのだが、悪く言えば、そのまじめさが外ではなく内に向かっている節があった。それは、同社の歴代社長が強いリーダーシップを持つ重たい存在であったということと裏腹である。社長が求める以上に、社員が雲の上の人として崇めてしまった感があった。その行動特性は、上司と部下の関係にも現れていた。

 高橋社長は、1事業で1兆円よりも、100事業で100億円ずつ売るという「脱・液晶一本足打法」を訴え、事業の新陳代謝を促している。ロボティクス、スマートホーム/モビリティ/オフィス、ヘルスケア・医療、教育、食/水/空気の安心安全、革新商品などの6分野で150の新規案件を検討していた。

 ところが、事は思い通りに進まなかった。14年秋からシャープの業績は再び下降し始めた。中国向けのスマートフォン用液晶パネルとテレビの販売が急速に落ち込んだことが主な原因だ。貧すれば鈍する、を絵に描いたような状況に陥った。三洋電機の元部長は、「かつての三洋と同じ状況になってきた」と話す。たしかに、「けったいな文化」がどうのこうのと言っている場合ではなくなってきた。

「いたずらに規模のみを追わず、誠意と独自の技術をもって、広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」

 佐伯氏が、創業者・早川徳次氏の意をくんで73年に定めた経営理念の一節である。この文言に反し近年、シャープはいたずらに規模を追ってしまった。だが、それよりも罪なのは、液晶という既存の主力事業ばかりに目が行き、「誠意と独自の技術をもって」新規事業をタイムリーに創出せず、大いなる端境期をつくってしまった結果である。

問われる銀行の力

 ところで、冒頭のみずほ銀行員は、一般人が持つ銀行のイメージとは裏腹な光景を口にした。

「銀行に勤めている女の人は、タバコを吸う人が多いんです。うちの支店の喫煙室も女性でいっぱいです」

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