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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

中国リスク急増、世界的価格下落…好業績ラッシュの中でも、なぜ赤字企業続出?

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役
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中国リスク急増、世界的価格下落…好業績ラッシュの中でも、なぜ赤字企業続出?の画像1「Thinkstock」より
 15年3月期の各社決算が出揃い、電機・エレクトロニクス業界も概ね好調である。しかし逆に不振に陥っている企業も少なからずある。全体が好景気のトレンドの中にあって、今回はそうした不振が続く各社の様相を探る。

 電機大手については、三菱電機と日立製作所が最高益を更新するなど好調だったが、最高益を更新予定だった東芝は過年度の「不適切な会計処理」があり、ソニーとシャープは赤字決算となるなどまだら模様である。

 ちなみに東芝は、少なくとも500億円規模の利益が減額見込みとなっているほか、不適切な会計処理の範囲と深さが共にさらに広がる可能性があり、着地点が見えない。ソニーはパソコンやテレビなどで抜本的な構造改革を進めており、その過程での赤字という見方もでき、ゲームおよびネットワークなどは好調に推移している。また、シャープは液晶や太陽電池の不振が深刻で、予断を許さない生き残りへの取り組みが続く。結果論だが、亀山への大型投資が適切だったかどうかについては、批判を免れない。

中国リスク急増、世界的価格下落…好業績ラッシュの中でも、なぜ赤字企業続出?の画像2
 一方、日本メーカーが強い電子部品業界にあっても、やはり上場企業で赤字決算のところはある。クリアリーフ総研が集計した上場電子部品メーカーの15年3月期売上高ランキング上位20社内では、18社が増収となっており、減収にとどまったのはミツミ電機とホシデンだけだった。また利益面では、当期利益段階で減益となったのは、新電元工業、ニチコン、メイコーの3社のみだった(メイコーは欠損転落)。ミツミ電機とホシデンは減収だが共に最終増益となっている(ホシデンは黒字回復)。

 また、上場電子部品メーカー全体(約45社)を集計すると、8割が対前年比増収で、利益面でも営業損益ベースでは、やはり8割近いメーカーが増益だった。なかでもランキング上位の大手であるTDK、村田製作所、日本電産などはいずれも2ケタ増収増益となっている。スマートフォン(スマホ)および車載向けなどにそれぞれ電子部品販売が拡大、為替の円安寄与も少なくない。

 しかし、こうした中で15年3月期が最終欠損だった上場電子部品メーカーもある。

メイコー

 メイコーは、電子機器には必ずといってよいほど搭載されているプリント基板メーカーで、同品専業としては最大手の存在。15年3月期売上高は対前年度比15%増の908億円となったが、最終の当期利益段階では95億7000万円という大幅な赤字転落となった。売上高については、車載関連および海外スマホ関連向けに基板受注が好調だったが、海外における低価格スマホの拡大などによって製品価格が下落、採算が悪化した。

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