新たな業界再編か

 今回の買収によりサントリー食品は、缶コーヒー「ルーツ」、清涼飲料「桃の天然水」のブランドなどを手に入れる。これらは9月までに販売を終了することになっていたが、サントリー食品は引き続き販売する。

 自販機は値引きが少なく、消費者への重要な販売ルートだ。サントリー食品が高値での買収を決断したのは「(JTの子会社は)我々が獲得できない、業界でも屈指の優良立地の自販機を抱えている」(サントリー食品の小郷三朗副社長)からだ。JTはオフィスビルなどに多くの自販機を設置している。サントリー食品の鳥井信宏社長は「(JTの自販機事業の買収などを通して)総合的な飲料サービスの体制を整え、2020年度に売り上げ2兆円(14年12月期は1兆2572億円)を目指す」と語った。

 ジャパンビバレッジが保有する26万台強の自販機のうち9万台はサントリー食品やキリン、アサヒなどの商品と組み合わせた混載機だ。キリンやアサヒはジャパンビバレッジに一部出資しており、ジャパンビバレッジはキリンやアサヒの自販機の運営も数万台受託している。経営主体がサントリー食品に変われば、混載機の扱いが焦点となる。アサヒ、キリンには自販機事業の先細りが懸念される事態となった。

 飲料メーカーの自販機台数ランキングで、アサヒ飲料とキリンビバレッジの間にダイドードリンコが入る。ダイドーが5月25日に発表した15年2~4月期の連結決算は最終損益が7億円の赤字(前年同期は400万円の黒字)だった。主力の飲料販売事業が苦戦し、円安により原材料の調達コストも上昇した。売上高は6%減の333億円だった。コンビニ・コーヒーとの競合で、飲料の販売数量が1割減少した。

 2~4月期の赤字は想定の範囲内としており、16年1月期通期の純利益を27億円(前期比16%増)とする予想を据え置いたが、設置場所ごとに商品の構成を見直すなど、個々の自販機の販売力のテコ入れが急務となる。

 ジャパンビバレッジをサントリー食品が獲得したことから、早くも飲料業界再編に注目が集まる。台風の目はダイドードリンコだ。ダイドーは自販機に依存しない経営を志向しており、自販機部門を売却するとの観測が出ている。
(文=編集部)

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