「Thinkstock」より
主催者が所属外の競走馬を招待し、出走費用や滞在費用を負担する国際招待競走「ジャパンカップ」が1981年に始まると、競馬の国際交流競走の整備が進んだ。その後は、外国調教馬の参戦が増加するなど、日本競馬の国際化が著しい。
また、日本調教馬も海外のレースに積極的に参戦するようになり、98年にシーキングザパールが日本調教馬として初めて海外のG1レースであるフランスのモーリス・ド・ゲスト賞を制覇した。
その後も、11年にドバイワールドカップ(G1)でヴィクトワールピサが、14年にはドバイデューティフリー(G1)でジャスタウェイが優勝した。ジャスタウェイと、14年にジャパンカップで優勝したエピファネイアは、同年の世界ランキング1、2位馬となるなど、日本調教馬は世界的に高く評価されている。
しかし、これまでの競馬法では、海外競馬の馬券について規定がないため、日本調教馬が出走していても国内では馬券を発売できなかった。そこで、競馬法を改正して、日本調教馬が出走するなど特定のレースについて、JRAなどが国内で馬券を発売できるようにしたのだ。
改正法では、国内で発売できる海外のレースについて、外国の法令に基づいて外国の行政機関またはこれに準ずるものの監督を受けている競馬であることが必要とされている。
さらに、競馬に関する国際機関・国際競馬統括機関連盟(IFHA)加盟国の競馬主催者が行う競走であること、IFHAで定められているパリ協約に基づく公正性の担保措置が講じられていることなど、当該競走の公正性の確保について判断され、農林水産大臣が指定したものとなっている。
馬券の発売は、JRAまたは地方競馬主催者によって行われることになるが、当該の海外レースに関する情報提供については、JRAらが海外競馬主催者との間で映像の提供などについて契約を結ぶといった準備が必要になる。
このため、農水大臣が馬券の発売対象となる海外競馬のレースを指定し、JRAなどが海外の競馬主催者との間で馬券の対象競走の結果の確認方法や、映像権利料の支払いなどを内容とする契約を行い、国内で海外レースの馬券を発売するためのシステムの改修を行う必要がある。