ドンキは「カラオケも居酒屋も飽きた。しかしドンキに行くと同じ金額で時間を潰せ、しかも意外な商品が安い値段で買える」というドンキファンに支えられて成長してきた。つまりドンキは物販店ではなく、カラオケや居酒屋と同じレジャー施設。消費者は時間を消費するために来店し、そのついでに物を買う。扱っている4万品目の商品は日々入れ替わり、カテゴリーは多彩でまさに「よろず屋」。来店のたびに新しい発見があり、買い物がレジャーになる。ブランド物のバッグと6本いくらの使い捨てひげ剃りを一緒に買える店は、世界広しといえども少ない。

 そして3つ目の権限委譲。これは先に挙げた深夜営業と圧縮陳列、すなわち時間消費と買い物の楽しさを消費者に保証するフレームワークになっている。
 
 時間消費型の深夜営業では、来店のたびに新しい発見ができる「意外性」が不可欠になる。この意外性をスピーディに、かつマンネリ化させず演出するためには、「現場への権限委譲」が絶対条件となる。ドンキHDでは商品の6割は本部で一括仕入れするが、残り4割は仕入れから販売までの一切を店に委ねている。

 具体的には、店内はファッション、日用品、家電など7つの商品カテゴリーに分かれた専門店が軒を並べる擬似商店街になっている。各カテゴリーの売り場主任は専門店の店主として上記4割の商品の仕入れから販売までの一切の権限を持っている。どんな売り場をつくり、そこにどんな商品をどこから仕入れ、それを本部仕入れの商品とどのような組合せで陳列し、どんな値段で売るかは、すべて売り場主任の判断。このため、各売り場主任は常に自店舗周辺の競合店の品揃え、値付け、購買動向などを独自に調査して売り場をつくり上げている。これもチェーンストア理論とは真逆の店舗運営だ。

業界の常識を全面否定

 こうした事業モデルの特徴を、流通業界の経営コンサルタントは「業界の常識を全面否定したから成功した」と、次のように評価している。

 総合流通大手はいずれも全国画一の店舗運営による効率性追求で成長してきた。対して、ドンキHDの店舗運営は各店バラバラ。同じ商品の値段さえ店ごとに異なる「一物多価」であり、店舗運営マニュアルもなく標準化を全面否定している。

 ドンキHDの事業コンセプトはコンビニエンス(CV)、ディスカウント(D)、アミューズメント(A)の3要素を組み合わせた「CVD+A」となっているが、これらを実際に結合した業態は世界中どこにもない。それが成長し続けている。
 
 その理由は、かつての商店街の楽しさを、新しい業態で再現しているからにほかならない。戦後の流通業は米国をお手本にしてきたが、米国人と日本人の買い物に対する感性は異なる。米国人は広々とした場所で他人に邪魔されず買い物をするのを好む。一方、日本人は狭い場所で人がひしめき合った賑やかな買い物を好む。東京・上野のアメ横の歳末買い物風景がこれを象徴している。

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