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86歳で会長就任、34年も社長に君臨…いつまでも居座る“老人”経営者の異常な多さ

文=編集部

 久光中興の祖は、4代目社長の中冨正義氏。11年11月、106歳で亡くなった。企業スポーツ振興に力を注ぎ、女子バレー部はいまなお日本一の座にある。正義氏は77歳でホノルルマラソンに初出場し、91歳まで連続15回完走したのをはじめ、国内外のマラソン大会に出場して話題になった。正義氏は81年に長男の博隆氏に社長の椅子を譲った後も、97年に92歳で退くまで会長を務めた。博隆氏も社長を長男に譲った後も、父親と同じように会長として経営を取り仕切ることになる。

引き際がわからなくなる

 大企業は役員定年制を取り入れている企業が多く、社長70歳定年が普通だ。とはいっても、老いてはますます盛んな高齢経営者は多い。現役として活躍している70代後半から80代の有名企業の経営者は以下の通り。

【有名企業の高齢経営者】

 ※以下、企業名:役職、氏名、年齢

・サンリオ:社長、辻信太郎、87歳
・カシオ計算機:社長、樫尾和雄、86歳
スズキ:会長兼社長、鈴木修、85歳
・ウシオ電機:会長、牛尾治朗、84歳
セブン&アイホールディングス:会長、鈴木敏文、82歳
・キヤノン:会長兼社長、御手洗冨士夫、79歳
・フジ・メディア・ホールディングス:会長、日枝久、77歳

 非創業者、非オーナーにもかかわらず長期政権記録を更新し続けたのが、オリックスの宮内義彦氏(79)である。1980年12月、45歳の若さで社長に就任して以来、14年6月に会長兼グループCEOを退くまで33年間トップの座にあった。オリックス創立50周年を節目に宮内氏は取締役から退き、経営の第一線から外れたが、新しく設けた役職「シニア・チェアマン」に就き、経営陣への助言を行う。プロ野球球団のオリックス・バファローズのオーナーは続ける。完全に引退したわけではない。

 宮内氏は「会社のことを世界観で語ってきた経営者が、70歳過ぎると、自分中心の言動を取るようになる。こんな人を何人も見てきた」と再三語っていた。周囲が見えなくなり、自己中心的な行動を取る。自分もそうなるかもしれないと恐れた宮内氏は、70歳までに後継者に交代する考えでいた。

 キヤノンの中興の祖といわれた賀来龍三郎氏は、御手洗冨士夫氏に社長を譲って退いた時、引退を決断した理由をこう語っている。

「(年を取ると)最後に残る楽しみが会社だけになってしまう。(私も年を取った)今では御手洗(毅=創業メンバー)前会長が身を引くことができなかった理由がよく分かる。世間一般の企業でも年寄りが辞めない理由がよく分かる。私も、もうあと数年たてば自分では引退の決断をできなくなっただろう」(「週刊東洋経済」<東洋経済新報社/1997年3月15日号>より)

 賀来氏の後継者だった御手洗氏は「社長は10年」が持論だったが、自ら引退を決断するタイミングを逸した。

 経営者が自分で引退を決断するというのは、思いのほか難しいようだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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