「あくまで臆測の域を出ない数字ですが、1PV=0.1円で換算すると年収ベースでHIKAKINが1億1000万円程度、マックスむらいが7800万円程度といわれています。HIKAKINクラスの場合は、大手企業とのタイアップ動画を作成していたりもするので、さらに年収は上積みされていると考えられます。ただし、YouTuberとして成功しているといえるのは、上位10%ぐらいのごく一部だけです。この10%の中でも、非常に大きな収入差があります。

 また、YouTuberをなりわいとするためには、4つの壁をクリアしなければなりません。1つ目はファンの確保、2つ目は編集や撮影の技術、3つ目は面白いコンテンツを考える企画力、そして4つ目はHIKAKINやマックスむらいのようなトップ層と同じ土俵で戦わないといけないということです。これから始めようとする人たちは、すでにファンも多く、動画の撮影、編集技術で勝っているトップ層と競うことになりますので、非常に厳しいでしょう。これらの点を踏まえると、今後YouTuberとして参入し、成功を収める可能性は決して0ではありませんが、限りなく0に近いということは確かです」(同)

 トップ層は驚くほど稼いでいるとはいえ、新規参入者がYouTuberとして成功するのはやはり難しいようだ。しかし、それにもかかわらず仕事を辞めてまでYouTuberになる人は後を絶たない。なぜ彼らは、そんな無謀ともいえる挑戦をするのだろう。

「ブログと比較するとわかりやすいのですが、ブログは文章を描くのが非常に面倒です。それに比べてYouTuberは、ただ動画で面白い情報を紹介するだけでいいので、『自分にもできる』という参入のしやすさがあると思います。これにはハードウェア的な側面の変化があり、昔だとビデオ機材を用意して撮影したものをパソコンに取り込んでエンコードし、編集するという手間がありましたが、今ではスマートフォンで撮影から編集まで済ませ、そのままYouTubeにアップするというように手軽にできてしまいます。そういう心理的な手軽さも後押しして、多くの人が手を出しているという状況です」(同)

競争激化による、底辺YouTuberの増加

 有名になればなるほどタレント化するYouTuberだが、タレントは人気がなくなれば生きていくことはできない。同じように、YouTuberも人気が途絶えてしまえば、ただのニートである。この先、非常に不安定な立ち位置にいるYouTuberに、未来はあるのだろうか?

「これから5年間はどんどんYouTuberが増えると思います。それによって稼げる人も増えていくでしょう。挑戦する人が増えれば、その中からHIKAKINのように大金を稼ぐ人も出てきます。しかし、それはより競争が厳しくなることを意味しており、競争に敗れ、視聴数を稼げないYouTuberも増えます。また、そもそもYouTuberはYouTubeというプラットフォームに乗っているので、このプラットフォームの人気がなくなってしまえばどうしようもありません。そうなると、HIKAKINのように多くのファンがついている人を除いて、収入を断たれてしまうでしょう。YouTuberになるのであれば、そういう問題に直面した場合にどう対応するのかも考えなければいけません。

 YouTuberとして生活することは困難ですが、動画作成は鑑賞するのと同じか、それ以上の楽しみがありますので、趣味の範囲内であれば、どんどん挑戦してみるべきだと思います。ただ、世界中から閲覧されるインターネット上に動画を上げるということは、炎上や誹謗中傷、個人情報流出の可能性があることを肝に銘じ、注意しなければいけません」(同)

 誰でもなることができ、好きなことをしながら生きていけるYouTuberは、収入を得る方法として非常に魅力的である。しかし、実際にそれで食べていける人は一握り。ましてや仕事を辞めてYouTuberになったところで、稼げる可能性も低く、仮に安定して稼げるようになったとしてもプラットフォームに依存する以上、将来が不安定なことに変わりはない。YouTuberになるとしても、Hagex氏が言うように、仕事としてではなく、趣味の範囲内にとどめておくのがいいのかもしれない。
(文=日下部貴士/A4studio)

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