ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
路線バスの廃止は住民にとって、特に高齢者にとっては生活の足を奪われる深刻な問題だ。利用者が減るとバスの本数も減り、バスの本数が減ることで利用者がさらに減る。まさに悪循環だ。こうなると、地方のバス会社が路線バスから撤退することも十分あり得る。かといって、地方自治体も財政的に苦しく、赤字事業を引き受けることも難しい。まさに八方塞がりだ。
もしも、路線バス事業再建を引き受けたら
そんな状況で、撤退しようとしている地方の路線バス事業を、地元にあるあなたの会社が引き受けたとしよう。地元住民たちが困ってしまうのに、見て見ぬふりをすることはできなかったからだ。しかし、引き受けたからには黒字に転換しないことには事業を継続できない。赤字事業を黒字にするには、利用客を増やすか、乗車運賃を値上げするか、コストを削減するか、いずれかであろう。しかし、いずれもそう簡単ではなさそうだ。
さて、あなたが経営者なら、ビッグデータを活用して、どのように路線バス事業を再建するだろうか。路線バスとビッグデータが結びつくとは思えないかもしれない。ここでヒントとなるのが、本連載前回記事で述べた「ビッグという言葉にとらわれない」ことだ。スモールデータでいい。どうしたら、事業を改善できるか考えてみてほしい。
ここは、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』にならって、ネットは使わないこととする。ネットで検索して答えを探す衝動を抑えて、自分なりの答えを出すことを模索してほしい。正解でなくてもいい。考えることが重要なのだ。他の成功事例を参考にすることも大切だが、自ら考えることはそれ以上に大切だ。そうでなければ差別化できないし、本当にビッグデータを活用することはできない。
あなたなりの考えをA4用紙で1~2枚にまとめてみてください。あるいは会社の仲間と話し合ってみてください。次回、あるバス会社が実行した方法と比較してみましょう。
(文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT(技術経営専攻)教授)