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町田徹「見たくない日本的現実」

石原慎太郎の犯した歴史的罪 都民血税1400億円をドブに捨てた「人気取り政策」

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2つの戦略ミス

 しかも、新銀行は2つの決定的な戦略ミスを犯した。第1は、「スコアリング融資」と呼ばれていた安易な融資審査だ。厳格な対面調査をせず、システムに表面的な財務データを入力してパスすれば、“迅速に”無担保・無保証融資をするというものである。新銀行は、開業から3年で不良債権処理に約400億円の貸倒引当金を計上することを余儀なくされ、あっという間に経営危機に陥った。

 新銀行の放漫経営は、おカネをだまし取ろうとする“詐欺師”たちの餌食になったほか、結果的に都議会選挙を闘った与党議員や知事の子息らの国政選挙を支援することになったという。

 第2は、新銀行の経営規模にそぐわない巨額のシステム投資だ。新銀行は3年間に270億円を超える虎の子の資金を浪費した。35億円ものキャンセル料も取られている。後に、調査に関わった関係者は「大株主のIT企業が新銀行を食い物にした」と怒りを隠さなかった。

責任逃れで広がった損失

 設立の理念である、真っ当な中小企業に雨の日に傘を貸して経営を後押しするための融資に回った資金は、雀の涙ほどだった。業績も初年度(06年3月期)が209億円の最終赤字、2年目(07年3月期)が547億円の最終赤字、3年目(08年3月期)が167億円の最終赤字と惨憺たる状況が続いた。

 本来ならば、遅くともこの08年3月期決算が判明した段階で、新銀行東京を破綻処理して損失を確定したうえで、石原氏と都議会は自らの監督責任や政治的責任をはっきりとさせて、けじめをつけるべきだった。

 ところが石原氏と都議会は、銀行経営の失敗を認めようとしなかった。代わりに1016億円の減資をして、当初の出資を帳消しにするという同行の再建計画にお墨付きを与えたうえ、新たに400億円の出資をしたのである。その一方で、大株主として、また監督者としての責任には知らん顔を決め込んで、当時の経営陣に全責任を押し付けた。そして、失敗隠しに使われた400億円を、都は新銀行東京株として保有し続けてきた。今回、東京TYに株式交換されるため、同社の経営が血税の保全の鍵を握ることになるのである。

 配当もしていなかった新銀行東京株を保有するよりは、同株を早期に売却して有意義な政策に投入すべきだったが、石原都政を継承した猪瀬直樹前知事の時代には、東京都職員たちに遠慮があり、同株の処分話を持ち出せない時期が続いたと聞く。

 舛添要一現知事には、そのような遠慮はないはずだが、東京TY側に資本力の問題などがあったのだろう。都は、新銀行東京株を東京TYに売却して資金を回収することができなかった。代わりに、東京TY株を受け取り、大株主として同グループの経営を下支えしていく責務を背負い込んでしまったのである。

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