良い広告とは何か?

例えば、新商品が出る直前に「期待感を募らせる」広告があります。このタイプなら、通常は商品の具体的な機能等を詳細に説明する必要はありません。面倒な説明をするよりも、消費者に「なんとなく、その商品はオモシロそうだ」と思ってもらえればよいのです。それこそが、この広告の役割です。
別の例としては、プレゼントキャンペーンの告知広告があります。このタイプは「なんかトクしそう、応募したい」と思ってもらい「申し込み行動」をしてもらうことが広告の役割です。ちなみにこの場合も、「広告の役割」とは別に「マーケティング施策の目的」はあるわけなので、実際の購買を条件にするなどの仕組みを、広告制作とは別に準備しておく必要があります。
つまり「役割を果たす広告が、良い広告である」と言ってよいのでしょう。広告は、発信する側の意図を達成できたかどうかで評価が決まります。発信者の意図通りに対象者が行動した、あるいは意識を変えたならば、その広告は良い広告なのです。
良いコミュニケーションとは?
誰かに何かを伝えて、何か行動をしてもらったり、意識を変えてもらったりすること。この行為を、ここでは「コミュニケーション」と呼ぶことにします。
広告は企業などの広告発信者からターゲットに向けたコミュニケーションです。対象となる相手は一般生活者だったり、その商品の購入者だったりします。いわゆる広告メディアを用いる場合、その相手とは“大勢の人々”になります。
これ以外にも、さまざまなコミュニケーションがあります。人々が日常生活で関わる人に対して行うものも、立派なコミュニケーションです。例を挙げれば切りがありません。
・営業担当者として客に面談の機会をもらうためのコミュニケーション
・販売員として客に商品を手にとってもらうためのコミュニケーション
・今携わっている案件が大きなチャンスだと社内を説得するためのコミュニケーション
・好きな相手とデートを取り付けるためのコミュニケーション
・飲んで帰宅が遅くなった時、奥さんの機嫌を損ねないように理由を説明するためのコミュニケーション
むしろ日常生活におけるコミュニケーションのほうが、商売のために行う広告などよりも、よほど複雑で高度かもしれません。