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江上隆夫「ブランド戦略ディレクターのぷらっと未来散歩」

膨張するアフリカ かつてないまったく新しい大きな変革を、人類にもたらす

文=江上隆夫/ブランド戦略ディレクター
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 アフリカの人口は現在11億人台。21世紀中にわたって人口増が続き、今世紀末には現在の4倍近くに当たる42億人前後になると推定されています。アジアも増加基調ですが、35年後の2050年におよそ52億人になり、あとはなだらかに落ちていきます。アジアではインドが比較的長い間人口増が続き、65年の16.5億人でピークを迎えます。中国のピークはかなり早く10年後の25年時点の14.5億人前後で、その後はなだらかに減少していきます。東アジア儒教圏が大発展を遂げるのはここ20年ほど。その後、文明発展の重心はインドなどの西アジアへ移っていき、さらにアフリカへと展開していくはずです。

 人口動態は、その地域の発展性をかなり正確に映し出します。人口増は人口ボーナスを導き出すからです。人口が増える地域は、エネルギー、社会インフラ、商業活動全般が急激に活性化し、経済が発展します。日本は、第二次世界大戦後からバブルの90年前後まで、この人口ボーナスの恩恵を受けました。

 では、アフリカはどうでしょう。50年代以降、多くの国が旧宗主国から独立しましたが、現在でも多くの国が政治の混乱、独裁、部族間の対立などの問題を抱え、発展のブレーキを踏んでいます。戦後の日本やドイツは、エネルギー、物流、教育、法制度、政治など、人材も含め、成長するための社会的な土台がしっかり整っていたからこそ、奇跡の復興をなし得ることができました。

 宗教問題、エボラ出血熱などの伝染病、インフラの極端な未整備その他、アフリカは大きな問題を抱えています。こうしたことを考えると、いくら人口ボーナスがあろうが、混乱を抱えたまま停滞する可能性もゼロではありません。

 しかし、私は楽観的です。なぜなら「アフリカ的なるもの」(「古代社会の思考とエネルギー」と言い換えてもいいかもしれません)は、大きな変革期にある人類の社会に、まったく新しい価値をもたらす可能性が高いからです。それは、西洋も東洋も生み出し得ないものになるのではないかと予想されます。

未来への可能性(2):無文字社会の伝統

 アフリカ、特にサハラ砂漠以南は、無文字社会の伝統が今でも強い地域です。無文字であるがゆえに人と人の濃い結びつきや独自の音楽、コミュニケーションの文化を生み出してきました。

 例えば現代のポピュラー音楽、ジャズ、ロック、ポップスの源泉であるブルース音階。あの独特の音階は、奴隷の供給地であった西アフリカに起源を持つといわれています。私たちが親しんでいる音楽のベースにはアフリカがあります。トーキングドラムという楽器をご存じでしょうか。話す太鼓。文字通り離れた地域の住民と直接会話するための楽器です。ドラム両側の皮を張る紐を腕で押さえたり緩めたりすることで、いろいろなピッチの音を出し、まるで話しているかのように演奏することができます。

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