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清水和夫「21世紀の自動車大航海」(6月30日)

ベンツの“超高級”自動運転車に乗ったら、こんなにスゴかった!運転から完全解放

文=清水和夫/モータージャーナリスト

ベンツの“超高級”自動運転車に乗ったら、こんなにスゴかった!運転から完全解放の画像1メルセデス・ベンツのF015「メルセデス・ベンツ 公式サイト」より
 草木もなびくほど話題になっている、自動車自動運転。その勢いは、当分の間、衰えることはないだろう。洗濯機などほかの家電製品と違い、自動車の場合は一歩間違えば人を殺しかねない難しさがあるものの、コンピュータや情報通信技術の発展とともに、目覚ましい進歩を遂げている。

 一昔前は不可能だったことが次々と可能になる時代だけに、今こそビジネスチャンスと考えるIT企業も少なくない。その代表が、グーグルだ。グーグルは自動運転車の開発を進めており、今夏には公道での実験走行を始める。

 ドイツの自動車会社、ダイムラーのブランドであるメルセデス・ベンツは30年以上前から、人間をアシストする運転支援技術を熱心に研究してきた。車両の制御技術や人間の目の代わりをする認識技術が進化したことで、ようやく自動運転が見えてきたところだ。

 また、高級ブランドとしての地位を確立するメルセデスは、自動運転車における「高級とはなにか」を考えている。人間がハンドルを握らなくなれば、高級車のあり方が変わるかもしれない、というわけだ。

 今年1月、メルセデスはアメリカのラスベガスで開催された国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、近未来の自動運転車「F015」を発表した。2025年頃に実用化すると見られている、半自動運転車を想定したコンセプトカーだ。

 このF015で、メルセデスは2つのコンセプトを主張している。ひとつは、ハンドルを握らない高級車のあるべき姿だ。もうひとつは、「シェアード・スペース」、つまり歩行者と自動運転車のインターフェイスについてである。

究極の“おもてなしカー”が登場

 CESから2カ月後、サンフランシスコ郊外の広大な米軍跡地でF015のワークショップが行われ、筆者も足を運んだ。メルセデスのスタッフがiPhoneを操作すると、F015が自走してくる。

 指定した場所に止まると自動ドアが開き、筆者たちを車内に迎え入れてくれた。目的地を指定した後は、運転席をグルリと半回転させて、後ろに座っている人と向かい合うことができる。

 ハンドルを握らないので、どんな“おもてなし”もできてしまうわけだ。外の景色はドアに埋め込まれたモニターで見ることができるし、擬似的にほかの風景を映し出すこともできる。とにかく、F015は究極のおもてなしカーといえる。

 メルセデスのもうひとつのこだわりであるシェアード・スペースとは、どのようなものだろうか。

 これは、オランダの交通エンジニアが提唱する概念だ。歩行者と自動車が町中で秩序正しくスペースをシェアすることができれば、事故は起きないという発想に基づいている。

 自動運転車の場合、人間同士のようなアイコンタクトはできないが、なんらかのかたちで歩行者と自動車が対話することができれば、スペースをシェアしやすくなる。例えば、両者が交差点で見合ったとき、自動運転車がレーザーライトで路面に歩道のようなものを映し出せば、「あなたはこちらを通ってください。私はあちらに動きます」という意思表示になる。

 F015の開発チームには社会学者が入っており、自動運転車が社会や人にどんな影響を与えるのか、真剣に研究している。一歩も二歩も先を行くメルセデスだが、いざ実用化となると課題が山積していることも間違いない。

 さて、日本の自動車メーカーは将来にどのようなビジョンを描いているのだろうか。ふと、不安がよぎった。
(文=清水和夫/モータージャーナリスト)

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